前庭障害とその症状
前庭系は内耳の一部で、平衡感覚や空間認識を司ります。内耳に障害が起こると、めまい、難聴、吐き気などさまざまな症状が現れます。以下に代表的な前庭障害を紹介します。
良性発作性頭位めまい症(BPPV)
BPPVは、耳石(カルシウム炭酸塩の小結晶)が前庭の尿石器から外れ、内耳の半規管に入り込むことで起こるめまいです。症状はバランス感覚の低下、吐き気、めまい、ふらつきなどです。50歳未満では頭部外傷が主な原因で、年齢が上がると尿石器の変性が関与すると考えられています。治療はエプレイ法やセモント法などの粒子再定位法で、診療所で短時間に実施でき、約80%の成功率があります。
聴神経腫(音響神経腫)
別名前庭神経鞘腫とも呼ばれる聴神経腫は、脳神経第八脳神経にできる良性の腫瘍です。この神経は中耳へと走行しているため、腫瘍が圧迫すると聴覚や平衡感覚に異常が現れます。主な症状は徐々に進行する難聴、歩行不安定、顔面のしびれや脱力、耳鳴りです。腫瘍が脳幹を圧迫すると生命に関わる危険があります。治療は放射線手術または顕微手術で行われますが、いずれも聴覚や平衡感覚の永久的な変化リスクがあります。
メニエール病
メニエール病は、内耳にある内リンパ液(エンドリンパ)が過剰に蓄積することで発症します。原因は遺伝的要因、ウイルス感染、アレルギーなど様々な説がありますが、はっきりとは分かっていません。発作時には突然のめまい、耳鳴り、難聴の変動が起こり、数分から一日以上続くことがあります。発作後は強い倦怠感や眠気が続くことが多いです。治療はめまい・吐き気止めの薬、リハビリテーション、低塩食などを組み合わせて行います。
内リンパ瘻(ペリリンパ瘻)
内耳と中耳を隔てる卵円窓と丸窓の膜が破れる(瘻)が起こると、中耳の圧力変化が直接内耳に伝わり、めまい、バランス障害、吐き気、嘔吐、聴力低下が生じます。主な原因は急激な気圧変化(潜水など)や頭部外傷です。重症例を除き手術は必要なく、安静にすることで自然に治癒することが多いです。
