人間の耳の機能と役割

耳は、日常的に意識しないことが多いですが、聴覚と平衡感覚という二つの重要な感覚を担っています。外部からの刺激や疾患により機能が損なわれることもあります。

聴覚

空気中の音波は外耳で集められ、耳道を通って鼓膜に到達します。鼓膜が振動すると、そこに付着した小さな骨(槌骨)が動き、続いて砧骨と鐙骨が連鎖的に振動します。この「耳小骨」の連鎖は、音波を機械的に中耳へ伝え、卵円窓という膜を振動させます。

卵円窓の向こうには蝸牛(かぎゅう)があり、らせん状の骨と液体、神経終末が詰まっています。蝸牛内の神経が振動を電気信号に変換し、脳へ送られることで音が聞こえます。この過程は数ミリ秒で完了し、遅延はほとんど感じられません。過度の大音量は聴覚機能を過刺激し、早期の聴力低下を招くことがあります。聴力検査で早期発見が可能です。

気圧と副鼻腔

中耳は副鼻腔と喉の間をつなぐ通路として働きます。ユースタキオ管と呼ばれる粘膜で覆われた管を通じて、粘液・液体・空気が副鼻腔から喉へ移動します。飛行機の離着陸などで気圧が急激に変化すると、ユースタキオ管が圧力を平衡させ、鼓膜の破裂を防ぎます。この際、耳の中で「ポップ」という音が聞こえることがあります。

ユースタキオ管の機能不全は子供に多く、反復性の中耳炎を引き起こします。必要に応じて鼓膜に人工チューブを挿入し、機能を補助することがあります。

平衡感覚(前庭機能)

内耳には平衡感覚を司る神経センターがあります。蝸牛の上部に位置する三つの半規管は、第八脳神経を通じて脳と連絡しています。各半規管は内リンパ液と神経終末で満たされ、頭部の水平・垂直方向の動きを感知します。頭が動くと液体が神経を刺激し、電気信号が脳へ送られ、体の位置や動き、外傷や方向に関する情報が提供されます。

頭部外傷や急激な動き、ウイルス感染は前庭機能を乱すことがあります。慢性的なめまい(めまい症)も内耳の障害の一つで、薬物療法で対処できます。

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