中耳の障害とその対策
中耳は外耳と内耳をつなぐ空洞で、鼓膜の奥に位置し、3つの小さな耳小骨(耳錘、砧骨、振動骨)で構成されています。主な役割は音を増幅し、内耳へ効率的に伝えることです。中耳の異常はしばしば内耳にも影響を及ぼし、難聴や耳の痛みの原因となります。
難聴(伝音性難聴)
中耳に問題が生じると音の伝達が阻害され、伝音性難聴が起こります。主な原因は以下の通りです。
- 耳垢の詰まりや除去不足。
- 中耳の骨が感染し、膿や新生骨が形成される。
- 中耳の瘢痕や穿孔。
- 中耳に液体がたまる(滲出性中耳炎)。
- 耳小骨の融合や侵食。
治療法としては、感染除去のための抗生物質、手術による骨や液体の除去、必要に応じて補聴器の装着があります。
気圧変化による中耳障害(バロトラウマ)
飛行機の離着陸や潜水など、外部と中耳の圧力が不均衡になるとバロトラウマが起こります。耳管(ユースタキオ管)が正常に機能しないと鼓膜が内側に凹み、痛みや鼓膜破裂、さらには内耳まで損傷することがあります。
予防策は、離着陸時にガムを噛む、口で呼吸しながら飲み込む、嚥下を行うなどです。症状が強い場合は、去痰薬や鼻スプレーなどで鼻腔の閉塞を改善します。
鼓膜穿孔
中耳炎や急激な気圧変化、外傷、化学刺激、綿棒などの不適切な耳掃除が原因で鼓膜に穴が開くことがあります。症状は耳の痛み、出血、難聴、耳鳴り、めまいなどです。診断は耳鏡で行い、治療は乾燥保持と抗生物質投与、必要に応じて耳垂液や外科的修復が行われます。
乳様突炎(マストイド炎)
中耳炎が骨組織の乳様突部に広がると、膿がたまり炎症が起こります。主な症状は耳の後ろの激しい鈍痛、発熱、耳からの白い分泌物です。放置すると難聴、敗血症、脳炎につながります。治療は培養検査に基づく適切な抗生物質の投与で、症状が改善したら経口薬に切り替えます。
急性・慢性中耳炎(急性中耳炎・慢性中耳炎)
急性中耳炎はウイルスや細菌感染により鼓膜が赤く腫れ、子供から大人まで風邪やインフルエンザに伴って起こります。アモキシシリンなどの抗生物質と鎮痛剤で治療し、膿がたまる場合はドレナージ手術が行われます。
慢性中耳炎は鼓膜穿孔が治癒せず、長期間にわたって分泌物が続く状態です。水泳や耳に水が入ることがきっかけで症状が悪化します。治療は感染管理と穿孔の修復、場合によっては手術が必要です。
中耳の障害は早期発見と適切な治療が重要です。耳に違和感や痛みを感じたら、耳鼻科専門医に相談しましょう。
