網膜剥離の検査と診断
網膜は眼球の内側後壁を覆う光感受性の膜で、光を受け取って視覚情報に変換します。網膜剥離は、網膜が血管層(脈絡膜)から剥がれ、酸素や栄養が供給されなくなる状態です。放置すると永久的な視力低下につながるため、早期発見と治療が不可欠です。
網膜剥離の概要と症状
網膜剥離は特定の原因がなく自然に起こることもありますが、網膜に穴や裂け目ができること、外傷、炎症性疾患、糖尿病のコントロール不良などが原因になることもあります。主な症状は以下の通りです。
- 周辺視野に閃光(光の閃き)が見える
- 漂う小さな点(飛蚊症)や影が見える
- 視野の一部が暗くなる、または盲点ができる
- 視覚のゆがみや急激・徐々に起こるぼやけ
これらの症状が現れたら速やかに眼科を受診し、以下の検査で網膜の状態を評価します。
電気網膜図(ERG)
ERGは網膜の機能異常を検出する検査です。まず瞳孔を散瞳し、麻酔点眼で眼球を麻痺させます。特殊なコンタクトレンズ型電極を角膜に装着し、光刺激に対する網膜細胞(杆体・錐体)の電気活動を測定します。A波とB波という二種類の波形が記録され、解析に約1時間かかります。ほとんど痛みを伴わない安全な検査です。
眼底検査(眼底鏡検査)
眼底鏡検査は眼球の後部(眼底)を観察し、裂孔・裂傷・剥離の有無を確認します。主に以下の3種類があります。
- 直接眼底鏡検査:暗室で光ビームを瞳孔から直接照射し、眼底を拡大して観察。日常的な眼科検診で最もよく用いられます。
- 間接眼底鏡検査:眼球に軽く圧力を加える器具と、ヘッドマウント型の眼底鏡を使用し、広範囲を立体的に観察します。
- スリットランプ眼底鏡検査:低倍率顕微鏡と高強度の光源を組み合わせ、散瞳した状態で詳細に検査。検査時間は約15分で、軽い不快感があることがあります。
屈折検査(視力検査)
屈折検査は視力の正確さを測定し、近視・遠視・乱視などの屈折異常を評価します。患者は20フィート先の視力表に注視し、検査用レンズを切り替えながら最もはっきり見える度数を確認します。正常な視力は20/20(20フィートで3/8インチの文字が読める)です。検査は痛みがなく、所要時間は個人差があります。
蛍光眼底血管造影(FA)
FAは網膜血管の循環状態を画像化する検査です。散瞳薬で瞳孔を拡大した後、特殊なカメラと光源で眼底を撮影します。その後、肘の静脈に蛍光色素(フルオレセイン)を注射し、血管内を流れる様子を連続撮影します。血管の径や漏れ、閉塞の有無を評価します。注射部位の軽い疼痛や一時的な吐き気、温感が生じることがあります。散瞳後の視覚障害は数時間続くことがありますが、検査自体は安全です。
以上の検査を組み合わせて網膜剥離の有無や進行度を正確に診断し、適切な治療(レーザー凝固、冷凍治療、手術など)へとつなげます。
