眼圧と緑内障の治療ガイド
定期的な視力検査は、緑内障などの目の病気を早期に発見するために欠かせません。検査の一環として眼圧(眼内圧)を測定しますが、異常に高い眼圧は緑内障のリスクを示す重要なサインです。症状が現れにくく、放置すると失明に至ることもあるため、早期発見と適切な対策が重要です。
高眼圧の原因
眼圧は、房水と呼ばれる液体が適切に排出されないと上昇します。房水は虹彩の裏側にある毛様体で産生され、角膜や水晶体に栄養を供給した後、小さな組織(小房網様体)を通って排出されます。この排出路が詰まると房水がたまり、視神経に圧力がかかり、緑内障の原因となります。
よくある誤解
「眼圧が高ければ必ず緑内障」と考える人がいますが、これは誤りです。米国国立眼研究所によると、眼圧が高いことは緑内障のリスクがあることを示すだけで、実際に視神経が損傷していなければ緑内障ではありません。逆に、眼圧が正常でも緑内障になるケースがあります。
緑内障の種類
- 慢性開放隅角緑内障:最も一般的で、症状がほとんどなく徐々に眼圧が上昇し、視神経が損傷するまで気付かれにくい。
- 閉塞隅角緑内障:急激に眼圧が上がり、激しい眼痛、視界のぼやけ、頭痛、吐き気、光のハローなどの症状が現れる。
- 正常眼圧緑内障:眼圧は正常範囲だが視野が狭くなるタイプ。
- 剥離症候群(エクスフォリエーション症候群):水晶体や排液角に異常な物質が蓄積し、開放隅角緑内障を引き起こす。
- 色素沈着緑内障:若年の近視の白人男性に多く見られる。
- 外傷・腫瘍・他の眼疾患に伴う二次性緑内障。
検査方法
- 視力検査:遠近の視力を測定し、非接触式トノメーターで空気の吹き付けにより眼圧を測定。
- 散瞳検査:散瞳薬で瞳孔を広げ、拡大レンズで眼底を観察し視神経の状態を評価。
- 接触式トノメトリー(アプレッショントノメトリー):局所麻酔後、角膜に直接触れて正確に眼圧を測定。
- 視野検査:周辺視野の欠損をチェック。
- 角膜厚測定(パチメトリー):超音波で角膜の厚さを測定し、角膜厚が眼圧測定値に与える影響を補正。
薬物治療
一時的に首を締めすぎる、逆立ちする、息を止めるなどで眼圧が上がることはありますが、持続的に高い眼圧が認められる場合は、眼圧を下げる薬が主な治療になります。治療の基本は「房水の産生を抑える」か「排出を促進する」ことです。主な点眼薬には、Timoptic、Lumigan、Xalatan、Trusopt、Pilocarpine、Alphagan などがあります。効果が不十分な場合は、作用機序が異なる別の点眼薬を併用することが推奨されます。
手術治療
眼圧が薬物で十分にコントロールできない場合、以下のような手術が検討されます。
- レーザー小房形成術(トラベクュロプラスティ):レーザーで排液路を開放し、房水の流れを改善。
- 濾過手術(トラベクュレクトミー):強膜に小さな開口部を作り、房水が直接排出できるようにする。
- シリコンチューブ植込み:小さなチューブを眼内に設置し、房水の排出路を確保。
自宅でできる対策
水分補給と適度な運動は眼圧を下げる基本です。1日を通してこまめに水を飲み、定期的な有酸素運動を行いましょう。カフェインの過剰摂取は眼圧上昇に影響する可能性があるため、過度のコーヒーは控え、代わりにお茶を選ぶと良いでしょう。緑内障は進行性の疾患で、完治は期待できませんが、早期に発見し適切に管理すれば視野の損失を最小限に抑えることができます。
