双眼用プリズムの概要と視覚療法への活用

概要

双眼用プリズム(ヨークドプリズム)は、発達視能訓練士が特定の視覚障害の治療に使用する装具です。プリズムは像の位置をずらすだけでなく、使用者に視覚的な歪みへの適応を強制し、姿勢やバランスに影響を与えることがあります。そのため、目線を下げがちな自閉症スペクトラムの方が、目を上向きにする手助けとして有効です。

プリズムとは

光を通す透明な物体で、光線を屈折させたりずらしたりします。最も身近なのは水晶やガラス、プラスチック製のレンズです。屈折角は「プリズムジオプトリー(prismatic diopter)」で表し、1ジオプトリーは光源が1メートル離れたときに光線を1センチメートルずらすことを意味します。

機能と向き

プリズムは三角錐形で、底部(base)から光を押し出す方向に像を移動させます。方向の呼び方は次の通りです。

  • 底部が下向き(base down) → 光が上にずれる。
  • 底部が上向き(base up) → 光が下にずれる。
  • 底部が右向き(base right) → 光が左にずれる。
  • 底部が左向き(base left) → 光が右にずれる。

適用例

斜視(ストラブスムス)への使用

斜視の患者にプリズムを眼鏡に組み込むと、見た目上は両眼が揃って見えるようになります。視覚統合訓練が必要な場合もあり、プリズムは片側または両側レンズに入れられます。両側に入れたものを「双眼プリズム」と呼びます。

リハビリテーションへの応用

脳卒中や外傷後に中線がずれた患者に、視覚的な歪みを与えて姿勢・バランス・視覚注意力の再調整を促すために使用されます。両眼に同じ方向のプリズムを入れたものは「ヨークドプリズム」と呼ばれ、例として6ジオプトリーのベース右プリズムを両眼に装着すると、1メートル先の対象が左右それぞれ12センチメートル左に見えるようになります(各レンズの効果が合算されるため)。

臨床的意義

発達視能訓練士のメルヴィン・カプラン博士は、双眼プリズムを自閉症患者の視覚療法に活用し、効果を上げています。著書『Seeing With New Eyes(新しい目で見る)』では、診断ツールとしての使用方法や、治療過程でのプリズムの処方例が解説されています。患者の反応が良好であれば、短期間の治療目的で処方することもあれば、長期的に矯正目的で眼鏡に残すこともあります。

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