動脈硬化に対するキレート療法の実態と評価

キレート療法は、動脈硬化(動脈の硬化)を治療する手段として提案されています。合成アミノ酸の一種であるEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を静脈に注入し、プラークやカルシウムの沈着を除去し、血管を柔らかくすることを目的とします。しかし、米国心臓協会(AHA)は、キレート療法の有効性を裏付ける科学的根拠がないとしています。

キレート療法の理論

AHAの公式サイトによれば、キレート療法の支持者は、EDTAが重金属だけでなくカルシウムとも強く結合する性質を利用し、血管内のプラークやカルシウム沈着を体外へ排出できると主張しています。この考え方は、EDTAがプラークに結合し除去できるという未検証の前提に基づいています。

費用とリスク

キレート療法は高額です。1回の治療費は最大で約100米ドルで、2〜3時間の施術が必要です。月に最大30回の治療が行われることもあり、保険適用外のため全額自己負担となります。

また、EDTAは無害な薬剤ではありません。腎不全、痙攣、低血圧などの副作用が報告されており、特に動脈硬化患者にとっては危険です。さらに、EDTAに対するアレルギー反応を示す人もいます。

科学的根拠の欠如

AHAが指摘する最大の問題は、キレート療法の効果を裏付ける科学的データがほとんどないことです。支持者の多くは臨床試験ではなく体験談に依存しています。実際に行われた研究では、キレート療法はプラセボと比べて動脈硬化に対する有意な改善効果が認められませんでした。

2002年に「虚血性心疾患に対するキレート療法」という題名でJAMAに掲載された研究や、2007年に生化学者サウル・グリーン博士が実施した文献レビューでは、キレート療法の主張は過大評価されていると結論付けられています。

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