肺血栓(肺塞栓症)の治療法は?
肺塞栓症の基本的な治療方針
肺に血栓ができる肺塞栓症(PE)は、血栓の溶解と新たな血栓形成の予防を目的に薬物療法が中心となります。症状の重症度や血栓の大きさ、患者の全身状態に応じて以下の治療が選択されます。
1. 抗凝固薬(血液をさらさらにする薬)
抗凝固薬はPE治療の根幹です。血液凝固を抑制し、血栓の拡大や新規血栓の形成を防ぎます。主に使用される薬はヘパリン、ワルファリン、リバロキサン、アピキサバン、エドキサバンなどです。
2. 血栓溶解薬(トロンボリティック)
血栓が大きく、生命を脅かす重篤なPEの場合に使用します。血栓の主成分であるフィブリンを分解し、血栓を直接溶かす薬です。静脈内投与が必要で、出血リスクが高いため慎重に適応を判断します。
3. 下大静脈フィルター(IVCフィルター)
下肢や骨盤から血栓が肺へ流れるのを物理的に遮断する小型デバイスです。抗凝固薬が使用できない、または効果が不十分な場合に設置されます。
4. 外科的肺血栓除去術(エンボーテクトミー)
非常に重症で、薬物療法が効果を示さない場合に行われます。外科的に肺内の血栓を除去する手術です。
5. 支持療法
呼吸状態が悪化した場合は酸素投与を行い、血中酸素濃度を維持します。また、疼痛管理や血圧・心拍数のモニタリングも重要です。長時間の寝たきりは深部静脈血栓症(DVT)を招きやすいため、早期離床や適度な運動を推奨します。
治療方針の決定要因
血栓のサイズ・部位・重症度、患者の基礎疾患や全身状態を総合的に評価し、最適な治療法を選択します。早期に適切な治療を開始することで、合併症のリスクを低減し、予後を改善できます。
