HEV(E型肝炎ウイルス)の複製過程

HEV(E型肝炎ウイルス)の増殖は大きく5段階に分かれます。

1. 細胞への付着と侵入

HEV粒子はエンベロープを持たない一本鎖RNAがタンパク質カプシドで包まれた構造です。まず、肝細胞表面にあるアシアロ糖タンパク質受容体(ASGR)などの特異的受容体に結合し、受容体媒介エンドサイトーシスにより細胞内へ取り込まれます。

2. カプシドの解離(アンコーティング)

細胞内に入ったHEVはカプシドが分解され、ウイルスRNAが細胞質へ放出されます。

3. 翻訳とRNA複製

正義鎖RNAは直接mRNAとして宿主リボソームで翻訳され、ORF1ポリタンパク質が合成されます。ORF1はウイルスプロテアーゼにより非構造タンパク質へ切断され、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)などが形成されます。これらが複製コンプレックスを構築し、ゲノムRNAとサブゲノムRNAの新規合成を行います。

4. 組み立てと放出

新たに合成されたゲノムRNAは構造タンパク質と結合し、ウイルス粒子が形成されます。細胞質に蓄積した粒子は小胞体(ER)から取得した脂質膜で包まれ、エンベロープを持つ形になります。最後に、細胞を破壊せずにバディング(出芽)により放出されます。

なお、HEVの増殖メカニズムはウイルスの遺伝子型や宿主の条件により若干の違いがあることがあります。

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