成長ホルモン(HGH)の実態と注意点
概要
成長ホルモン(HGH)は、下垂体から分泌される天然のポリペプチドホルモンで、骨や組織の成長を促進します。中年以降は分泌量が減少し、睡眠・ストレス・栄養・運動などが自然なHGH産生を刺激します。また、血糖値の調整にも関与しています。
医療上の効果
米国食品医薬品局(FDA)は、成長障害を持つ子どもや成人に対し、合成ヒト成長ホルモン(HGH)の投与を承認しています。主な効果は、骨密度・筋肉量の増加、運動能力の向上、体脂肪の減少です。さらに、HIV/AIDS患者の筋肉減少(カタボリック症候群)にも使用が認められています。
乱用例
アスリートやボディビルダーは、筋肉量増加や体脂肪減少、老化抑制を目的に合成HGHを不正に使用することがあります。検出が難しいため、スポーツ界での違法使用は広範とみられ、ステロイドなど他のドーピング薬と併用されるケースも報告されています。
副作用
健康な成人がHGHを使用した場合、手足のむくみ、関節痛、筋肉痛、男性の乳房肥大(女性化乳房)などが頻繁に報告されています。また、糖尿病や心血管疾患のリスクが高まる可能性が指摘されており、特に高齢者で副作用が顕著になることがあります。症状が持続するかどうかは現在も不明です。
考慮すべき点
成長障害の治療には、HGH注射のほかに手術や他の薬剤が用いられますが、健康な成人が合成HGHを使用しても効果があるという科学的根拠はほとんどありません。市販のHGHリリースサプリやホメオパシー製剤は有効性が証明されていません。非処方目的でのHGHの販売・所持は重罪とされ、5年以下の懲役が科せられます。国際オリンピック委員会(IOC)や世界アンチ・ドーピング機構(WADA)は、競技者のHGH使用を禁止しています。治療用でも、1回の注射に数千ドルかかることがあります。
