テストステロン欠乏症の治療法
はじめに
テストステロンは男性の精巣で主に産生され、女性でも副腎や卵巣で少量産生されるステロイドホルモンです。男性においては筋肉量の増加、骨密度の維持、二次性徴(低い声、体毛・顔毛)や精子産生に関与します。米国だけでも約1300万人が血清テストステロン低下の影響を受けていると推定されています。
テストステロン欠乏の原因と症状
低テストステロンは先天的・後天的な疾患、アルコール依存症などの生活習慣、化学療法や腺の損傷、加齢による自然減少などさまざまな要因で起こります。主な症状は以下の通りです。
- 筋肉量の減少・骨密度低下(骨粗鬆症)
- 勃起障害、性欲低下
- 疲労感、抑うつ
診断方法
医師は問診・身体検査に加えて血清テストステロン濃度を測定します。クラインフェルター症候群やカールマン症候群などの先天性疾患が疑われる場合は、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)投与で治療が行われます。下垂体機能障害など他の原因が除外された後、外因性テストステロン(合成ホルモン)による補充療法が検討されます。
投与量の目安
健康な成人男性は1日平均4〜7 mgのテストステロンを主に朝に分泌します。投与はこの自然な分泌パターンを完全に再現することは難しいため、臨床的に期待される筋肉・骨・性機能の改善を基準に調整します。
経口投与
米国でテストステロン治療を受ける男性の約3割が経口薬を使用しています。代表的な製剤はアンドリオール、プロビロン、フルオキシメステロンなどです。また、舌下貼付剤(ストリアント)を歯茎に貼り付け、粘膜から吸収させる方法もあります。
一部の経口薬は17αアルキル化という化学修飾が施され、肝臓での分解が遅くなる代わりに肝毒性(肝障害リスク)が高まります。投与頻度は製剤により異なりますが、医師の指示に従うことが重要です。
筋肉内注射(筋注)
テストステロンのエステル化(例:テストステロンエナン酸エステル)により、作用時間が延長された油性製剤が一般的です。水性製剤(テストステロン懸濁液)もありますが、効果持続時間が短く頻回の注射が必要です。
投与量は通常50〜400 mgを2〜3週間ごとに1回投与します。油性注射剤は血中テストステロン濃度の変動が大きく、性欲や気分、エネルギーレベルの変動を訴える患者もいます。
経皮投与
クリーム、スプレー、パッチなどの形で皮膚や陰嚢に直接テストステロンを塗布します。代表的な製品はアンドロゲル、アンドロデーム、テストオーデルムです。
皮膚刺激や発疹が起こることがあり、陰嚢に貼付したパッチはジヒドロテストステロン(DHT)濃度が上昇しやすく、男性型脱毛症が進行するリスクがあります。
