天然プロゲステロン vs プロゲスチン
プロゲステロンの役割
プロゲステロンは、月経がある女性の卵巣で生成され、妊娠中にも分泌されます。排卵後、妊娠が成立しない場合はプロゲステロン濃度が自然に低下し、子宮内膜が剥がれ落ちます。ホルモン補充療法(HRT)を受ける女性は月経が止まりますが、卵巣は残っているため、エストロゲンだけを投与すると子宮内膜の異常増殖(子宮内膜症)リスクが高まります。そのため、エストロゲンと併せてプロゲステロンを補う必要があります。男性でもごく少量が精巣や副腎で産生されますが、男性ホルモンとは見なされません。
プロゲステロン(天然)
HRTで用いられる「プロゲステロン」は、製造方法に基づく呼称です。自然由来または「バイオアイデンティカル」と呼ばれ、メキシコ産野生ヤムや大豆から抽出したジオゲニンやシグマステロールを化学的に合成して作られます。野生ヤムや大豆自体にプロゲステロンは含まれていませんが、これらから得た前駆体を加工して製造します。
プロゲスチン(合成)
プロゲスチンは「合成」ホルモンと呼ばれ、代表的な薬剤はメドロキシプロゲステロンです。実験室で作られ、天然プロゲステロンの分子構造にできるだけ近い形に設計されています。避妊薬の成分としても使用され、プロゲスチン単独の錠剤もあります。避妊目的では、子宮頸部の粘液を濃くして精子の通過を妨げ、受精や受精卵の子宮着床を困難にします。
プロゲスチンのその他の用途
プロゲスチンは更年期女性のHRT以外にも処方されます。子宮内膜症や過多月経の治療、妊娠中に体内で十分なプロゲステロンが産生されない場合、または不妊治療・卵子提供の際に補充が必要な場合に使用されます。
副作用とリスク
プロゲステロンもプロゲスチンも副作用があります。プロゲステロンに対しては、胸の圧迫感や呼吸困難といったアレルギー反応、下痢・便秘・むくみなどが報告されています。プロゲスチンの主な副作用は乳房の張り、めまい、嘔吐、疲労感など軽度のものです。重篤なアレルギー反応としては、蕁麻疹、呼吸困難、胸痛、激しい頭痛などがあります。いずれの薬剤を使用する場合も、症状や副作用を注意深く観察し、異常があればすぐに医師に相談してください。処方薬に添付されている注意書きも必ず確認しましょう。
