エビデンスに基づく実践はどのように策定されるのか?
定義
サッケットらが示したエビデンスに基づく実践(EBP)の最も一般的な定義は、 「個々の患者のケアに関する意思決定において、現在入手可能な最良のエビデンスを意識的・明示的・慎重に活用すること」である。EBPは、個々の臨床経験と体系的研究から得られる外部エビデンスを統合することを意味する。
この定義の重要なポイントは、臨床知識と学術的知識の両方を活用する点である。両者が揃って初めて効果的なエビデンスに基づく実践が可能になる。
開始のために必要なこと
Stillwellらによれば、エビデンスに基づく実践に取り組む上で最も重要なのは「探求心とそれを支える文化」の二つである。これは「ステップゼロ」と呼ばれ、医療従事者が問題を深く掘り下げ、独自の解決策や新しい治療法を模索しなければ、実践は始まらないことを示す。
質問の設定
研究を始めるには、まず核心となる質問を定め、その検証方法を考える必要がある。質問は、臨床経験、業界のトレンド、類似研究、理論的背景などから導かれる。良い質問は明確で、関連性が高く、焦点が絞られている。
背景質問と前景質問
質問には大きく分けて二種類ある。背景質問は「誰が、何を、どこで、いつ、なぜ、どのように」のように広範囲で、概念的な情報を求める。
前景質問は経験豊富な臨床医が用いるもので、具体的かつ臨床的に重要な点に焦点を当てる。そのため、得られる研究結果は実践的で具体的になる傾向がある。
エビデンスに基づく実践では、質問作成のフレームワークとしてPICOやCOPESがよく用いられる。
COPES
COPES(Client Oriented Practical Evidence Search)は、質問が以下の三つの特性を持つことを求める。①日常診療から生じること、②医療従事者が提示すること、③クライアント(個人・集団・地域)の福祉に直結すること。質問は実務的で、組織のミッションに合致し、電子的エビデンス検索に適した形で明確に表現される。
PICO
PICO(またはPICOT)は、エビデンスに基づく質問を構築する最も一般的な方法である。構成要素は以下の通り:
- Patient(対象患者)
- Intervention(介入または関心テーマ)
- Comparison(比較対象)
- Outcome(アウトカム)
- Time(介入期間)※必要に応じて
このように整理すれば、電子データベースでの検索が容易になり、臨床家自身の経験だけでなく、外部の研究成果も効率的に活用できる。
