グラム陰性菌の危険性とは?

細菌は形質に基づいてさまざまなグループに分類されます。代表的なのがグラム陽性菌とグラム陰性菌で、主な違いは細胞壁の構造にあります。両者とも感染症を引き起こすことがありますが、グラム陰性菌は細胞壁が薄く外膜を持つため、抗生物質に対する耐性が高く、公共の健康に大きな懸念をもたらします。

グラム染色

グラム染色は細菌を大きく二つに分ける方法です。染色過程で結晶紫が残る菌はグラム陽性菌となり紫色に見えます。一方、結晶紫が洗い流され、サフランで染まってピンク色になるのがグラム陰性菌です。グラム陽性菌は厚いペプチドグリカン層を持ち、主にペプチドグリカンから構成されています。対照的に、グラム陰性菌のペプチドグリカン層は非常に薄く、外側にはリポタンパク質からなる外膜が覆っています。この構造の違いにより、両者は化学物質に対する反応や薬剤感受性が大きく異なります。

抗生物質耐性

グラム陰性菌が特に危険視されるのは、標準的な抗生物質が効果を示さないことです。ペニシリンやセフェム系はペプチドグリカン層の合成を阻害して細菌を殺しますが、グラム陰性菌は外膜がこれらの薬剤の浸透を妨げます。その結果、ペニシリンやセフェム系はほとんど効きません。外膜は多くの抗生物質に対して不透過性であるため、感染症の治療が極めて困難になります。

院内感染

グラム陰性菌による感染は病院内で頻繁に発生し、院内感染や死亡の主要因となっています。免疫力が低下した患者は特にリスクが高く、カテーテルや人工呼吸器、創傷などを介して細菌が体内に侵入します。体内に入ったグラム陰性菌は血流に乗って全身に広がりやすく、尿路感染や人工呼吸器関連肺炎の原因となります。

治療法

グラム陰性菌は多くの抗生物質に耐性があるため、治療は難航します。1940年代に開発されたコリスチン(ポリミキシンE)とポリミキシンBはグラム陰性菌に対して有効ですが、神経障害や腎障害といった重篤な副作用が問題です。特に腎不全を引き起こすリスクが高く、近年ではこれらの薬剤に耐性を持つ菌株も増加しています。そのため、新しい抗菌薬の開発や感染予防対策が急務とされています。

まとめ

グラム陰性菌は外膜が薬剤を遮断し、抗生物質耐性が高いため、院内感染の主要因です。適切な予防と新薬開発が、今後の公衆衛生上の課題となります。

感染症 - 関連記事