Haemophilus influenzae(インフルエンザ菌)の生活史
増殖と成長
Haemophilus influenzae は二分裂(binary fission)によって増殖します。細菌は1本の環状染色体を持ち、分裂の際に染色体を複製し、細胞膜が内側へ伸びて2つの娘細胞に分かれます。したがって、増殖と二分裂を交互に繰り返すシンプルな生活史です。
病原性
健康な保菌者ではほとんど症状を示しませんが、カプセルを持つ菌株は粘膜表面に付着し、血管内へ侵入します。カプセルは補体や食細胞からの防御を助け、特に Hib(タイプb)は髄膜炎、エピグロティティス、その他の重篤な感染症を引き起こすことがあります。主に5歳未満の子どもに発症し、成人の髄膜炎の5~10%は Hib が原因です。
感染経路
飛沫や直接接触によって感染します。くしゃみや咳から放出された細菌が鼻や喉の粘膜に付着し、ほとんどの場合は無症状のまま保菌します。
非タイプ化 H. influenzae(NTHi)
NTHi はカプセルを持たない株で、上気道だけでなく下気道にも定着し、免疫不全患者で肺炎を起こすことがあります。また、母体の膣内に存在すると分娩時に新生児へ感染し、生後24時間以内に症状が現れることがあります。
考慮すべき点
H. influenzae は主に小児や免疫低下者で病原性を示しますが、抗生物質で治療可能です。ただし、ペニシリン系薬剤への耐性が増加しています。予防としては Hib ワクチン接種が有効で、米国ではワクチン導入後に感染症の発生が大幅に減少しています。
