酢酸カルシウムと炭酸カルシウムの比較
はじめに
クレーブランド・クリニックのデータによると、米国で慢性腎臓病(CKD)患者は2,000万人以上います。CKD は不可逆的な5段階の疾患で、初期段階での血圧管理が進行抑制に重要です。治療では、ステージ2〜5で血清リン(リン酸)濃度を抑えるために、酢酸カルシウムまたは炭酸カルシウムの結合剤が使用されます。
酢酸カルシウム(Calcium Acetate)
腎臓病はステージ1(尿量は正常)からステージ5(末期腎不全、透析・移植が必要)までの5段階に分類されます。酢酸カルシウムは、PhosLo、Phoslyra、Eliphos、Calphron といった商品名で処方薬として提供され、血中リン酸濃度(高リン血症)を低下させます。リン酸が減少すると血圧も下がり、CKD の進行が遅くなります。酢酸カルシウムは腸内で食事由来のリン酸と結合し、吸収を阻害したうえで体外へ排泄させます。
炭酸カルシウム(Calcium Carbonate)
炭酸カルシウムはカルシウム・炭素・酸素からなる白色無臭の固体で、チョークや石灰岩、大理石として自然に存在します。市販のサプリメント(Caltrate、Calcitriol、Renagel など)としても入手可能です。酢酸カルシウムと同様に、腸内でリン酸と結合し吸収を抑えて血中リン酸を減少させます。国立腎臓財団の研究では、酢酸カルシウムの方がリン酸結合能が高く、より効果的なリン酸阻害剤とされています。
メリット
酢酸カルシウムは血圧とリン酸を低下させることで腎疾患の進行を遅らせるだけでなく、骨粗鬆症による骨折リスクの低減や心血管疾患・脳卒中のリスクも減少させます。炭酸カルシウムはリン酸吸収阻害効果はやや低い(1 mg の炭酸カルシウムで 39 mg のリン酸を吸着、酢酸カルシウムは 45 mg)ものの、安価で市販薬として手軽に入手でき、処方箋が不要という利点があります。
デメリット・注意点
酢酸カルシウムも炭酸カルシウムも過剰なカルシウム血症(高カルシウム血症)、口腔乾燥、血管・軟部組織への石灰化、便秘・吐き気・腹痛・食欲不振といった胃腸障害のリスクがあります。妊娠中・授乳中の使用は、医師と相談のうえ、必要最低限にとどめるべきです。
