成体幹細胞と胚性幹細胞の違いとは?
幹細胞の定義
米国国立衛生研究所によれば、幹細胞と呼ばれるには二つの性質が必要です。第一に、自己複製能、すなわち自分自身と同一の細胞を作り出す能力です。第二に、分化能、体の組織を構成する高度に特化した細胞へと分化できる能力です。
起源の違い
成体幹細胞(体細胞幹細胞、組織特異的幹細胞)は、成熟した個体の組織から採取されます。体内で損傷した組織を修復・置換する役割を果たします。一方、胚性幹細胞は受精後数日で形成される胚盤胞から採取され、発生過程で全ての細胞に分化できる能力を持ちます。
分化能(ポテンシー)
成体幹細胞と胚性幹細胞の決定的な違いは起源ですが、胚性幹細胞は多種多様な組織に分化しやすいことが知られています。この高い分化能を「ポテンシー」と呼びます。近年は、環境刺激や遺伝子操作により、成体幹細胞のポテンシーを高める研究も進んでいます。
倫理的論争
胚性幹細胞は胚を破壊して採取するため、生命倫理上の議論が絶えません。多くの人は胚にも人間としての権利があると考え、破壊は「殺害」に相当すると主張します。対照的に、成体幹細胞は同意を得た成人から取得できるため、倫理的な問題は比較的少ないです。
医療への期待
倫理論争があるものの、科学界では成体・胚性両方の幹細胞研究が活発です。これまでに動物モデルで糖尿病、脊髄損傷、多発性硬化症などの治療に成功例が報告されており、将来的に人間の疾患治療に大きく貢献することが期待されています。
