多発性硬化症と呼吸困難
呼吸は中枢神経系(CNS)によって制御されており、特に自律神経系が呼吸・心拍・消化といった無意識の身体機能を調整します。多発性硬化症(MS)は神経間の信号伝達を妨げる炎症と腫れを引き起こしますが、自律神経系そのものが直接損傷することは稀です。そのため、呼吸困難は病気そのものの直接的な症状というより、二次的な問題から生じることが多いです。
誤嚥性肺炎
MS患者は嚥下障害により、鼻や喉からの粘液や唾液を十分に除去できず、食べ物や飲み物が気道に入りやすくなります。この誤嚥が肺に刺激を与え、肺炎を引き起こし、危険な呼吸障害につながります。
筋力低下
MSは直接的に呼吸を制御する神経を傷つけることは少ないものの、呼吸に関わる横隔膜や肋間筋が徐々に弱体化します。筋力低下だけでも呼吸がしにくくなるほか、活動量の低下が肺炎などの呼吸器合併症を招くリスクも高まります。
薬剤の影響
MSの症状緩和のために使用される鎮静剤、筋弛緩剤、オピオイド系鎮痛薬は呼吸抑制作用を持ち、呼吸困難を引き起こすことがあります。また、稀にMS治療薬が重篤なアレルギー反応を起こし、生命を脅かす呼吸障害になるケースも報告されています。
