人工呼吸が血圧に与える影響
人工呼吸(機械的換気)は血圧に変動をもたらし、診療上の混乱の原因となります。影響は患者の腎機能・心機能、血管緊張状態によって異なり、主に換気開始時や終了時に顕在化します。
胸腔圧の変化
胸膜腔圧は肺を囲む膜間の圧力です。通常の吸気では胸膜腔圧は低下しますが、陽性終末呼気圧(PEEP)を設定した場合、胸膜腔圧は上昇します。
結果
胸膜腔圧と肺容積の増加が血圧に与える影響は患者の状態に依存します。脱水状態の患者では、陽圧換気により腎臓への血流が減少し、血圧がさらに低下することがあります。また、肺が過度に膨らむと血管平滑筋の緊張が緩み、血管拡張と血圧低下が起こります。特に敗血症性ショックや神経原性ショックなど、血管トーンが低下しやすい患者はこの影響を受けやすいです。
例外:心不全患者
心不全患者では、PEEPにより左心室への前負荷が減少します。その結果、心臓は少ない負荷で効率的に拍出でき、血圧が上昇することがあります。
