生化学兵器の種類と特徴
「生化学兵器」とは化学兵器と生物兵器の両方を指す総称です。化学兵器は有毒な化学物質を、 生物兵器は病原体を利用して人・動物・植物を死滅または機能不全に追い込みます。以下に代表的な生化学兵器の種類と特徴を紹介します。
神経剤
神経剤は、まず神経伝達を刺激し、続いて麻痺させる化学物質で、痙攣などの毒性症状を引き起こします。揮発性の液体で、蒸発が速く、代表的なものはサリンで水と同じ速度で蒸発します。その他にソマン、タブン、VX、シクロヘキシルサリンがあります。
マスタード系化学兵器
硫黄マスタードは第一次世界大戦以降使用されてきた化学兵器で、窒素マスタードはその派生物です。皮膚に触れると細胞に浸透し、激しい炎症と細胞死を引き起こすため、水ぶくれが生じます。油性の液体で、マスタードやホースラディッシュ、タマネギのような臭いがします。
炭疽(炭疽菌)
炭疽は Bacillus anthracis(炭疽菌)という細菌が原因の生物兵器です。主に皮膚から感染し、稀に吸入や経口でも感染します。皮膚に傷があると胞子が体内に入り、毒素を産生して出血、腫脹、組織壊死を引き起こします。自然界での感染は極めてまれで、主に兵器として利用されます。
毒素
代表的な毒素の一つにスタフィロコッカス・エンテロトキシンB(SEB)があります。食中毒の原因となりますが、空中に散布された場合は吸入により少量でも 24 時間以内に重度の無力化を引き起こすことがあります。これも生物兵器として位置付けられます。
ウイルス
天然痘ウイルス(Variola)は痘瘡ウイルスの中で最も致死率が高く、空気感染しやすいため生物兵器として重要です。感染後、呼吸器で増殖し血流に乗ってリンパ節へ、さらに皮膚表面の小血管へと広がり、炎症とともに特徴的な発疹が現れます。
