破傷風の症状と兆候
破傷風は、予防接種(破傷風免疫グロブリン)で予防できる感染症で、神経系に作用し、重症化すると致命的になることがあります。最も一般的なのは全身性破傷風ですが、感染が局所に留まる場合もあります。深い傷や汚れた傷から細菌が血流に入り全身に広がると、症状は急速に進行します。破傷風菌は人や動物の腸内に常在し、土壌や動物の糞便、肥料などにも存在します。
発症までの期間
- 症状は傷口から5日から15週間の間に出現することがありますが、通常は3日から3週間が潜伏期間です。
- 診断は主に臨床症状に基づき、特異的な検査はありません。
- 感染が局所にとどまる場合は、感染部位に痛みやしびれを感じることがあります。
筋肉の硬直
- 破傷風菌が産生する毒素は中枢神経系に作用し、筋肉の抑制に関わるアミノ酸(グリシン)の放出を阻害します。
- 顎、顔、首の硬直が最初に現れ、顎が開きにくくなる「顎関節痙攣(ロックジャウ)」が特徴です。
- 進行すると呼吸筋の麻痺や、下痢、頭痛、発熱、喉の痛み、胸痛、触覚過敏などの全身症状が出ます。
筋痙攣
- 症状は徐々に四肢や胸部、ふくらはぎの筋肉に広がり、硬直が強くなります。
- 腹部が引き締まったり、頭部が傾いたり、背中が反り返る「背部痙攣」も見られ、特に小児で顕著です。
- 呼吸筋が痙攣すると気道が狭くなり、急性の窒息や呼吸不全を引き起こす危険があります。
合併症
- 呼吸困難、脊髄損傷、骨折(激しい痙攣による)などが起こり得ます。
- 心拍数の増加や血圧上昇も見られます。
- 集中治療室での長期入院に伴い、二次感染のリスクが高まります。
致死につながる症状
- 心停止、腎不全、敗血症、呼吸筋痙攣による窒息などが主な死因と考えられています。
- 激しい筋収縮による全身の疲労・エネルギー消耗も致死要因です。
- 早期に死亡が起こる場合は、組織や臓器への酸素供給不足(無酸素症)が関与します。
注意すべきポイント
- 症状が早く出るほど合併症や死亡リスクが高まります。
- 傷口が中枢神経系から遠い部位にあると潜伏期間は長くなりますが、どんな切り傷や擦り傷、動物咬傷でも感染の可能性があります。
- タトゥー、ピアス、やけど、流産、歯科感染なども破傷風のリスク要因です。
- 米国CDCの報告では、破傷風症例の約20%が死亡し、死亡例の60%は40歳以上、特に50歳以上の高齢者に多く見られます。
