歯の膿瘍が引き起こす腺の感染症—そのメカニズムと対策
歯の膿瘍(歯内膿瘍)は、歯の神経や血管がある歯髄に細菌が侵入して起こる感染症です。この感染が進行すると、顎の骨や歯茎だけでなく、近くのリンパ節や耳下腺(唾液腺)へと広がり、腺の炎症や腫れを引き起こすことがあります。
1. 細菌の拡散
膿瘍内の細菌は、歯の根尖から周囲組織へ浸出し、顎骨や歯肉に感染します。
2. リンパ系の排液と拡散経路
頭頸部のリンパ管は、組織から余分な液体や老廃物を首や顎下のリンパ節へと運びます。膿瘍から漏れた細菌は、このリンパ系を通じてリンパ節に到達します。
3. リンパ節感染(リンパ節炎)
細菌がリンパ節に到達すると、炎症と腫脹が起こり、頸部や顎下に痛みを伴うリンパ節炎(リンパ腺炎)となります。
4. 耳下腺(パラトイド腺)への関与
耳下腺は顔の両側、耳の前方に位置する主要な唾液腺です。唾液は消化を助け、口腔内を潤します。
5. ステンセン管(耳下腺管)
耳下腺から分泌された唾液は、ステンセン管を通って口腔内へ排出されます。管口は上顎第二大臼歯(上の奥歯)の内側頬粘膜付近にあります。
6. ステンセン管を経由した感染拡大
膿瘍の細菌がステンセン管に沿って上昇すると、耳下腺に達し、炎症と腫脹(耳下腺炎)を引き起こすことがあります。
まとめ
歯の膿瘍は、細菌がリンパ系やステンセン管を通じて頸部のリンパ節や耳下腺へ広がり、腺の感染症を引き起こす可能性があります。感染拡大を防ぐためには、膿瘍が疑われたら早期に歯科医を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
