ヘルスケア従事者向け倫理規範の種類
過去100年間で医療倫理は大きく変化しました。20世紀には、同意なしに実験が行われ、前頭葉切除術など破壊的手術が正当化されていました。現在、医療従事者は他者の命を預かる立場にあり、その権限は大きいです。そのため、米国医師会(AMA)によって策定された倫理指針に従うことが求められます。医療倫理は主に4つの基本原則から論じられます。
自律性(Autonomy)
患者は自分の身体に何が起こるかについて決定する権利を持ちます。十分な情報と判断能力を備えた成人は、治療を受けるかどうかを自由に選択できます。そのため、医療従事者は治療のリスク・ベネフィットをわかりやすく説明し、患者の意思決定を強要してはなりません。患者が自身の健康にとって最善でない選択をした場合でも、その決定を尊重する義務があります。
善行(Beneficence)
医療従事者は個々の患者だけでなく社会全体に対しても利益をもたらすことを目的とします。これには、最新の医療知識を習得し、技術を維持・向上させることが含まれます。ある患者にとって有益な治療が、別の患者にとって同様に有益とは限りません。したがって、ケースバイケースで最適な判断を行う必要があります。
無害性(Nonmaleficence)
文字通り「害を与えない」ことが求められます。医療従事者は意図的に患者や社会に危害を加えてはなりません。また、二重効果(double effect)という概念を理解しておく必要があります。これは、治療が本来の目的とは別に予期せぬ害をもたらす場合を指します。例として、末期患者の疼痛緩和のためにモルヒネを投与すると、呼吸抑制という副作用が生じることがあります。
正義(Justice)
医療は限られた資源であり、すべての人が公平に利用できるように配慮しなければなりません。医療従事者は権利と義務、競合するニーズ、法的規制を踏まえて判断します。たとえば、貧困層の救急患者を無視して裕福なドナーを優先することは許されません。
