ユニバーサルEMR導入の課題

医療機関が電子カルテ(EMR)へ切り替えるべき経済的理由は数多くあります。2009年のアメリカ復興・再投資法(通称オバマ医療EMRインセンティブ)では、医師1人につき最大4万ドルの補助金が支給されます。しかし、このインセンティブだけでは全医療機関がEMRを導入する動機にはなりません。実際には様々な障壁が存在し、これらを克服しなければ導入は難しいです。

変化への抵抗

変化への抵抗はユニバーサルEMR導入の最大の障壁の一つです。長年にわたり独自のシステムを構築してきた診療所は、現在のシステムが機能していると感じています。特に年配の医師は、コンピュータが医療の主流になる前から医療に従事しており、技術への不安や自らの診療所が時代遅れと見なされることへの抵抗感があります。

規制上の課題

HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法)やCCHIT(医療情報技術認証委員会)など、様々な規格が提案されていますが、どのようなEMRが受容できるか、記録の保存・共有・保護の方法について合意が得られていません。標準化が進まないことで、医師は何を手に入れるか分からず、診療に支障が出る恐れがあります。これは安全基準が不透明な自動車業界で車を購入するようなものです。

価値が見えにくい

EMRがもたらす潜在的な改善効果にもかかわらず、成功事例の裏には多数の失敗が存在します。MediNotes社の企業開発担当副社長ジャック・カラハン氏によれば、EMR導入の失敗率は40〜80%に上ります。多くの医師は、現行のEMRシステムが機能性、使いやすさ、最終的な利益面で期待に応えていないと指摘しています。

移行の困難さ

既存の診療所は膨大な紙ベースの記録を抱えており、これらをデジタル化するには多大な時間と労力が必要です。さらに、デジタル化された記録は単に保存されるだけで、メタデータや統合ツールが不足しています。加えて、請求や予約管理システムなど既存の業務システムとの統合も必要で、患者対応を続けながらの移行は非常に困難です。

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