タイレノールはいつ開発されたのか
タイレノールは、痛みの緩和・熱の軽減・風邪やインフルエンザの症状緩和に使われる代表的な医薬品です。主成分はアセトアミノフェン(日本では「パラセタモール」)で、2008年時点で世界年間売上は10億ドルを超える世界トップクラスのブランドです。
アセトアミノフェンの歴史
1886年、フランスの医師アーノルド・カーンとポール・ヘップは寄生虫感染症の治療薬を探していました。その過程でナフタレンを注文したものの、誤って鎮痛薬として販売されていたアセタニリドを受け取りました。患者に投与すると、痛みが和らぐだけでなく熱も下がることが確認され、アセタニリドが有効であることが分かりました。
アセトアミノフェンとアスピリン
1899年、ドイツの化学者カール・モルナーは、体内でアセタニリドが代謝されてアセトアミノフェンになることを発見しました。しかし、医療現場での普及は遅れ、次の50年間はほとんど知られていませんでした。1950年代初頭、米国ではアスピリンが最も広く使用されていましたが、1950年代半ばに子どもにおけるリーヤー症候群との関連が指摘され、代替薬への関心が高まりました。そこで、フィラデルフィアに本拠を置くマクニール・ラボラトリーズは、アセトアミノフェン配合の新しい鎮痛薬の開発に着手しました。
タイレノールの誕生
1955年、マクニールは子ども用液体薬「タイレノール エリキシル(Tylenol Elixir)」を処方薬として発売しました。甘いフレーバーで子どもに受け入れられたこの製品は、すぐに北米での主要鎮痛薬となりました。効果と副作用の少なさが評価され、1959年に一般用医薬品(OTC)として市販が開始されました。続いて1961年には大人用の通常強度錠剤が登場しました。
ジョンソン&ジョンソンへの買収と事業拡大
1959年、マクニール・ラボラトリーズはヘルスケア大手ジョンソン・エンド・ジョンソンに買収されましたが、ブランド名はそのまま維持されました。資本力と流通網の強化により、タイレノールは次の20年間で製品ラインナップを拡充。1963年にコードイン配合タイレノール、1973年にチュアブル錠、1975年にエクストラストレングスカプセル、1976年にエクストラストレングス錠が続々と発売され、1976年には米国で最も売れた鎮痛薬となりました。
製品の多様化と危機の克服
1982年に起きたタイレノール中毒事件で7人が死亡し、ブランドイメージは大きく損なわれました。しかし、同年に導入された三重封止パッケージが消費者の信頼を回復させ、売上は急速に回復しました。その後、1980年代・1990年代にかけて、エクストラストレングスジェルカプセルやタイレノール コールド(1988年)、タイレノール アレルギー・シナス(1989年)、タイレノール コフ(1991年)など多彩な製品が登場。1992年には睡眠補助薬「タイレノール PM」、1999年に「シンプリー スリープ」も発売しました。2000年代以降は、速効性カプセルや冷感タイプの風邪・インフルエンザ薬など、さらなる機能拡張が進められています。
