高齢者における加重ブランケットの活用
深圧刺激とは
加重ブランケットは、体全体にしっかりとした圧力をかけることで、深圧刺激(Deep Pressure Stimulation)を提供し、患者を落ち着かせることを目的としています。コロラド州立大学のテンプル・グランディン博士が開発した「圧迫装置」の研究では、深圧刺激が自閉症や不安障害の症状を和らげる効果があることが示されました。1992年に『The Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology』に掲載された彼女の研究がその一例です。
加重ブランケットの効果
医師や看護師、作業療法士の多くは、深圧刺激が脳内でセロトニンやエンドルフィンの分泌を促し、抱擁と同様に気分を高揚させると考えています。そのため、介護施設や精神科病棟でも加重ブランケットを用いたリラクゼーションが試みられています。
米Massachusetts州ノースハンプトンのCooley Dickinson Hospitalは、2006年に精神科ユニットで加重ブランケットを導入し、患者の興奮時に拘束具の使用を減少させました。また、ハーバード大学付属のMcLean Hospital老年神経精神科でも同様の試験が行われ、認知症や不安で落ち着かない高齢者のストレス軽減と睡眠改善に寄与したと報告されています。
研究状況と使用上の注意
現在、加重ブランケットの効果を裏付ける大規模な臨床試験はほとんどありません。これまでのエビデンスは主に実務現場での経験談に基づくものです。
しかし、加重ブランケットはリスクが低く、必要に応じていつでも使用できるため、家族や介護者が手軽に試す手段として有望です。高齢者や体力の低い方に使用する際は、過度の発熱や窒息を防ぐため、常に様子を観察し、本人がブランケットを取り除けない場合はすぐに対応できるようにしてください。使用開始前には必ず医師や看護師に相談することを推奨します。
