診断と統計マニュアル(DSM)とは何か

診断と統計マニュアル(DSM)は、米国精神医学会(APA)が出版し、心理学者や精神科医が精神障害の診断に用いる標準的なリファレンスです。最新の研究成果を基に、精神医療の専門家が継続的に編纂・レビューしています。

目的

DSMは、原因や症状に基づいて精神障害を特定・分類し、必須・非必須の症状チェックリストを提供します。これにより、診断された患者に最適な治療や薬物療法を選択できるようになります。たとえばうつ病と診断された場合、どの薬が効果的かを臨床医が判断しやすくなります。

歴史

精神医学的な分類は19世紀後半のエミール・クレペリンに始まります。1893年に国際疾病分類(ICD)が登場し、1918年には米国医療心理学会が『統計マニュアル』を発行しました。DSMの第1版は1952年に出版され、以降6回の改訂が行われ、最新は2000年に出されたDSM‑IV‑TRです。

構成

DSMは診断に5つの軸(Axis)を用います。臨時的な精神障害、長期的な心理的異常(例:認知障害や人格障害)、身体的疾患、社会・環境的問題、適応能力です。各障害は診断基準としてチェックリスト化され、一定数の症状が一定期間以上続く、または機能障害が認められると診断が成立します。

議論

精神障害は社会的スティグマを伴うため、診断基準をめぐる論争が絶えません。ある批判者は、DSMが「正常な行動の極端なバリエーション」を病とみなすと指摘し、マイノリティや抑圧された集団の特徴が病理化される危険性を指摘しています。例として、同性愛は1973年までDSMに含まれていました。

将来

次期改訂(DSM‑V)は2012年に公開予定で、診断カテゴリーの再構築に加え、研究エビデンスに基づく根拠の強化や、性別・文化・民族性が診断に与える影響を検討することが重点となります。

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