胚性幹細胞と成体幹細胞の違いとは?
起源
胚性幹細胞は、受精卵から約4〜5日で形成されたヒト胚(胚盤胞)から採取されます。通常は体外受精(IVF)クリニックから提供された胚が使用されます。一方、成体幹細胞は、すでに発達した臓器や組織の中に存在し、脳、骨髄、血液、歯、骨格筋、心臓、肝臓など様々な部位で見つかります。
特性
胚性幹細胞は、最も若い未分化細胞で、ほぼすべての体細胞に分化できる多能性(プルリポテント)を持ちます。成体幹細胞も未分化ですが、多能性ではなく多分化能(マルチポテント)で、主に由来組織の細胞タイプに分化します。そのため、研究や治療への汎用性は胚性幹細胞の方が高いとされています。
培養
胚性幹細胞は培養が比較的容易で、大量に増やすことができます。対照的に、成体幹細胞は組織中に少量しか存在せず、採取・分離が難しく、体外での増殖も制限されます。このため、細胞療法に必要な大量の細胞を確保するのが課題となります。
細胞治療
米国国立衛生研究所(NIH)によれば、胚性幹細胞と成体幹細胞は患者への拒絶反応リスクが異なる可能性があります。2009年時点では、胚性幹細胞由来組織の移植が拒絶を招くかは不明でした。一方、成体幹細胞は患者自身の組織から採取し、培養・分化させて再移植するため、免疫拒絶のリスクが低く、免疫抑制剤の使用を減らせると期待されています。
成体幹細胞に関する論争
従来、胚性幹細胞はほぼすべての細胞に分化でき、成体幹細胞は由来組織に限定されると考えられてきました。しかし、NIHの最新実験では、ある組織由来の成体幹細胞が全く異なる組織の細胞に分化した例が報告されており、議論が続いています。今後の研究でその可能性が明らかになるでしょう。
