ラジャスタン州で発生する汚染物質の種類
インド最大の州であるラジャスタンは、主に砂漠地帯であり、絵のように美しい歴史的要塞や村が観光産業の重要拠点となっています。繊維、医薬品製造、農業などの産業も盛んですが、これらの産業活動からはさまざまな汚染物質が発生し、独自の生態系が脅かされています。
重金属
ラジャスタン州のパリ町は繊維産業が中心で、2008年にデリーのセンター・フォー・サイエンス・アンド・エンバイロメントが水質汚染のモニタリングを開始しました。パリには有害な重金属(ヒ素、クロム、鉛)を除去するはずの水処理施設がありますが、実測では十分に機能していないことが判明しました。現地の農家には水質検査キットが配布され、独自に汚染状況を確認できるよう支援されています。
H酸(染料酸)
H酸は繊維染色に使用され、洗濯後も色あせしにくい鮮やかな赤色を付与します。1983年、ウダイプル近郊のビチリ村でH酸製造業者が地下水を汚染したことが明らかになり、約1万人が暮らす22の近隣村の井戸が影響を受けました。現在でもビチリ周辺の地下水は赤く腐食性を帯びており、長期的な環境問題となっています。
大理石スラリー
ジャイプールやウダイプルで盛んに行われている大理石加工は、白くほとんど分解しない「大理石スラリー」という廃棄物を大量に生み出します。このスラリーは表土を侵食し、水資源を汚染するとともに景観を損ねます。近年、スラリーをセメントなどと混合し、粘土レンガの代替材料として再利用するリサイクル技術が導入され、環境負荷の低減が図られています。
工業排水
ラジャスタンのバンディ川では、さまざまな工業化学物質が排出され、流域の地下水を汚染しています。この水で灌漑された土壌は塩分濃度が高くなり、植生の減少が顕著です。その結果、二期作(ダブルクロップ)の栽培がほぼ不可能となり、農業生産性が低下しています。汚染は自然の生物多様性だけでなく、現地住民の生活基盤にも深刻な影響を及ぼしています。
