天然ガス採掘と環境への影響

1990年代以降、発電用の火力発電所が次第に天然ガスへと転換したため、天然ガスの利用は急速に拡大しています。天然ガスは石油と比べて二酸化炭素排出量が約23%少なく、石炭に次ぐ国内第2位のエネルギー資源です。米国の電力供給の約5割のうち、約2割が天然ガス火力発電で賄われており、その比率は今後も上昇すると見込まれています。

天然ガスの採掘方法

近年の天然ガス需要の増大に伴い、シェール層からガスを抽出する水圧破砕(フラッキング)技術が急速に普及しています。従来の深部垂直掘削ではシェール層に有効に到達できませんが、フラッキングは水平掘削と高圧の水・化学薬品混合液を用いて岩盤に亀裂を作り、ガスを解放します。2000年以降、フラッキングによる掘削数は30%増加し、2012年までに年間約3万2千本の新井戸が掘削される見込みとされています。

フラッキングの基本

フラッキングは従来の垂直掘削とは異なり、まず垂直に井戸を掘り、シェール層に到達したら水平に掘削方向を変えます。その後、水と化学薬品の混合液を高圧で注入し、シェール層に人工的な割れ目(フラクチャー)を作り出すことで、閉じ込められていた天然ガスが地表へ流れ出すようにします。

環境への懸念

フラッキングに対する最大の批判は、地下水や井戸水の汚染です。業界側は、問題となっている化学物質の多くはフラッキングによって新たに導入されたものではなく、もともと地層に存在していたと主張しています。また、業界ロビイストはフラッキングを連邦クリーンウォーター法や安全飲料水法の適用外とするよう働きかけましたが、環境保護庁(EPA)は近年、これらの訴えを調査し始めています。環境団体は、より安全な採掘方法への転換を求めて活動しています。

将来への対策

石油・ガス企業には、フラッキングに使用する化学物質の開示が求められ、健康リスクの低減が期待されています。また、従来の露天掘り型廃液貯留から、鋼製タンクによる安全な貯留へと転換が進んでいます。環境団体は、地震誘発や掘削時のスプレーによる大気汚染など、フラッキングに伴う他の環境リスクに対しても、政府の規制強化を訴えています。ドキュメンタリー映画『Gaslands』はこれらの懸念を広く紹介し、産業界からは強い反論が寄せられました。持続可能な採掘技術の開発は現在も継続的に研究されています。

環境衛生 - 関連記事