紙製造が人々に与える影響

紙は日常生活に欠かせないものですが、その製造過程は環境や健康に深刻な影響を与えます。製紙工場からは土地・水・大気への汚染物質が排出され、再生紙でも脱インク工程で発生するスラッジが問題となります。

硫黄化合物

製紙の各工程で揮発性硫黄化合物が使用されます。回収される分が多いものの、一部は二酸化硫黄として大気中に放出され、酸性雨の原因となります。また、硫化水素、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィドなどの揮発性硫黄化合物が「腐った卵」の臭いを発し、近隣住民の生活環境を悪化させます。硫酸エアロゾルは呼吸器疾患や喘息を悪化させることが報告されています。

ダイオキシンとメタノール

従来の塩素系漂白は高濃度のダイオキシンを放出し、環境中に残留して人体に蓄積し、がんや肝機能障害を引き起こします。木材パルプ工程でメタノールが放出されることもあり、これは中枢神経系障害や失明、肝障害をもたらす極めて有毒な物質です。揮発したメタノールは大気中でホルムアルデヒドに変化し、発がん性や頭痛、目・喉の刺激を引き起こします。

その他の環境課題

2007年の米国では製紙量の約56%しかリサイクルされず、約半分が埋立地へ送られました。リサイクルでもインクやプラスチックを含む「スラッジ」が埋立てられ、金属化合物や有害物質が地下水に浸出し、健康被害を招く恐れがあります。

改善の兆し

製紙に伴う健康リスクへの認識が高まる中、規制が強化され、技術革新が進んでいます。過酸化水素による漂白は塩素を使用せず、ダイオキシン排出を大幅に削減し、周辺住民のがんや肝障害のリスクを低減します。リサイクルは原料木材の需要を減らし、パルプ工程で使用される有害薬品の使用量も減少します。新しいパルプ技術や植物性インクの開発により、化学物質への曝露リスクがさらに低くなっています。

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