有機汚染物質のバイオ分解と土壌浄化
細菌による生分解
米国環境保護庁(EPA)は、生物修復(bioremediation)を「生物活動を利用して汚染物質の濃度や毒性を低減させる技術」と定義しています。このプロセスは生体変換(biotransformation)や生分解(biodegradation)とも呼ばれます。細菌は有機汚染物質を分子レベルで分解でき、土壌を遠隔で焼却やガラス化する高コストな処理を回避できます。
内在性菌と根圏菌
有機汚染土壌は、内在性菌または根圏菌を利用して分解できます。内在性菌は植物内部に共生する非病原性菌で、汚染物質を植物体内に取り込み分解します。一方、根圏菌は植物の根周囲で直接土壌中の汚染物質に作用します。植物の根がある土壌は、根のない土壌に比べて細菌数が300倍以上増加します。
ポプラとエンドウ豆
内在性分解の実証実験から、2つの有望な土壌浄化法が開発されました。1つはハイブリッドポプラ(Populus deltoides × Populus nigra)にメチロトロフ内在性菌を導入し、ベンゼンやトルエンといった揮発性有機化合物(VOC)や爆薬残留物を分解させる方法です。もう1つはエンドウ豆科の植物にPseudomonas属菌を接種し、クロロ化有機除草剤を分解させる方法です。
根への影響と対策
石油やコールタールからはナフタレンが生成されます。ナフタレンは植物の根に障害を与えますが、芝生の根圏にPseudomonas菌を添加すると、ナフタレンの影響から根を保護できることが示されています。また、マメ科の多年草「ヤマサラシ」も、根圏の細菌・真菌と協働してBTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン)やその他石油系化合物を分解します。
