汚染物質の運命と輸送の概要
化学物質の起源
運命と輸送は、化学物質が環境へ放出される地点から始まります。放出時の環境条件は、物質の拡散期間や最終的な行き先に大きく影響します。たとえば、晴天時に小規模な油漏れをすぐに回収すれば問題は最小限ですが、雨天時に同じ漏れが起きれば、油は拡散し、土壌に浸透し、地下水にまで達する可能性があります。
化学物質の残留性
残留性(環境中での安定性)は、汚染物質の運命と輸送を左右します。残留性は、微生物代謝や塩分、日光など自然要因によって化学物質が他の物質に分解される速度を示す指標です。例えば、DDTは代謝されてDDEになるまで、長期間環境中に残留します。
移動と輸送
多くの化学物質は風、潮流、海流などにより拡散します。水に溶けにくく、土壌などの基質に結合しにくい物質は、自由に移動し、拡散モデルで概ね予測できます。また、生物ベクターも重要な輸送手段です。短命で活動範囲が狭い昆虫に付着した汚染物質でも、捕食された鳥が遠くへ飛ぶことで広範囲に拡散します。
基質への結合
一部の化学物質は特定の基質に結合しやすい性質があります。例えば、かつて工業用潤滑剤や絶縁材として使用されていたPCBは、脂肪組織や有機質土壌に強く結合します。基質への結合は、運命を短くすることもあれば、長くすることもあります。土壌に結合したPCBは、土壌が廃棄処分されれば速やかに除去されますが、同じ土壌が河口へ流出すれば、汚染が広がります。
最終的な行き先
ある化学物質は放出後数週間で日光に分解して消失することもあります。一方、PCBのように残留性が高い物質は、数十年かけて米国メキシコ湾岸の工場から北極圏のホッキョクグマまで移動し、環境中に蓄積し続けます。
