水中への有毒廃棄物投棄

有毒廃棄物の水中投棄は、クリーンウォーター法制定前やスーパーファンド清掃現場、ラブ・カナル事件など、過去のイメージが強い。しかし、40年近く経った現在でも多くの投棄が続き、合法的なケースも少なくない。クリーンウォーター法の定義変更により、企業は罰則なしで河川や湖沼に投棄できるケースが増えている。

歴史

1972年に制定されたクリーンウォーター法は、野生動物・環境保護の広範な動きの一環で、同時期にクリーンエア法や絶滅危惧種法、環境保護庁(EPA)の創設も行われた。法は表層水の汚染や汚染流出を違法とし、保護水域の生態系回復・維持を目的とした。

有毒物質の種類

有毒廃棄物は鉱山、発電所、工場、製油所、農場、製紙工場、病院・研究所、ガレージ、下水処理場、建設現場など多様な源から水中に流入する。病原体、放射性物質、重金属、化学薬品などを含み、生態系を破壊し、魚類や植物、動物に致命的な影響を与える。ヒトにも出生異常、神経障害、癌など深刻な健康被害をもたらす。汚染水の飲用・泳泳や、汚染魚介の摂取が主な曝露経路で、ヒ素、水銀、鉛などは体内に蓄積して毒性レベルに達する。

規制と違反事例

有毒廃棄物の捕獲・輸送・処分・保管は厳格に規制され、燃焼・リサイクル・専用埋立場への保管が義務付けられているが、コストが高いため違法投棄が横行する。ニューヨーク・タイムズによれば、ペンシルベニア州ハットフィールド・フェリー発電所を所有するアレゲニー・エナジーは2006年から2010年初頭までにクリーンウォーター法違反を33回行い、罰金総額は26,000ドル未満であった。一方同期間の売上は11億ドルに上った。

定義の変更

2000年代の最高裁判決により、クリーンウォーター法で保護対象とされる水域や「埋め立て」の定義が縮小された。ブッシュ政権下の法改正で航行不能な水域は保護対象外となり、流れの小さな川・沼・湿地への無許可投棄が合法化された。これらの水は上流の飲料水源として約1億1700万人が利用しているとEPAは指摘している。

影響

最高裁は2009年、ブッシュ政権時代のEPA内部メモを根拠に「埋め立て」の範囲を拡大し、重金属等を含むスラリーや汚泥の水中投棄を認めた。アラスカ州のローワー・スレート湖では、金鉱山会社Coeur Alaskaが今後10年間で約21万ガロンの汚泥を合法的に投棄する計画だ。環境団体は投棄終了後に魚類や水生生物が死滅し、湖に蓄積した水銀が野生動物へ移行すると警告している。この判例はアラスカだけでなく、アパラチアの鉱山地域にも波及する恐れがある。

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