殺虫剤が環境と健康に及ぼす影響
動物への影響
殺虫剤は標的とする害虫だけでなく、他の動物にも被害を及ぼすことがあります。特に小型哺乳類や齧歯類、鳥類は影響を受けやすく、殺虫剤が散布された植物を摂取すると致命的な結果になることがあります。空中散布された殺虫剤は風に乗って近くの池や湖へ流れ込み、水生生物にも悪影響を与えます。かつて広く使用されたDDTは、植物や動物に深刻な被害をもたらすことが判明し、米国・英国・インドなど多くの国で使用が禁止されていますが、まだ一部の国で使用が続いています。
植物への影響
害虫を駆除して作物の収量を上げることが目的ですが、殺虫剤の過剰・頻繁な使用は逆に植物の成長を阻害します。スコットランド・グラスゴーの西スコットランド農業大学の動物学・昆虫学部のD. Stewartの実験では、過剰散布が植物に植物毒性(フィトトキシック)を引き起こし、成長が著しく抑制されることが示されました。
人間の健康リスク
研究によれば、殺虫剤は人間にさまざまな健康被害をもたらします。モントリオール大学産業衛生・大気汚染研究所の調査では、急性中毒によりめまい、複視(両視)、筋肉の不随意収縮、涙の過剰分泌などが報告されています。また、ジクロルボスなどの殺虫剤に長時間曝露すると皮膚炎や神経障害を引き起こすことがあります。リンダンやメトキシクロルは肝臓・腎臓障害や、生殖機能への影響も指摘されています。
その他のリスク
殺虫剤の過度な使用は大気汚染も招きます。殺虫剤中の炭素化合物が成層圏に蓄積し、地球温暖化に寄与する可能性があります。また、土壌表層に化学物質が蓄積すると、農地が不毛化し、将来的な耕作が困難になることがあります。
