送電線近隣に住むことのリスクとは?
背景
世界保健機関(WHO)によると、送電線などの電流は目に見えない電磁界(EMF)を生じます。電流が大きいほどEMFは強くなりますが、距離が離れるにつれて急速に減衰します。送電線は多くの住宅地にあり、85~550kVの電圧で電力を送ります。そのため、近隣に住む人への影響が議論されています。
現在の議論
WHOは一定の閾値を超えるEMFは生体に有害な影響を及ぼすことを認めていますが、国際的・国内的なガイドラインで安全レベルを定めています。議論の焦点は、低レベルのEMFに長期間曝露した場合に健康リスクがあるかどうかです。
ドレーパー研究
2005年6月にオックスフォード大学のジェラルド・ドレーパーが実施したケースコントロール研究では、出生時に高圧送電線から200m以内に住んでいた子どもは白血病リスクが上昇していることが示されました。また、200〜600mの範囲でもわずかながらリスク増加が認められました。
相反する結果
1994年7月にハーバード公衆衛生大学院の技術評価グループが発表した研究では、1979年のWertheimerとLeeperの研究は不完全であり、送電線と小児がんの関連は認められないと結論付けました。
考慮すべき点
研究結果は一貫しておらず混乱を招いていますが、最近の健康なボランティアを対象とした多数の研究では、送電線が放出するEMFは安全基準を大きく下回っており、健康リスクは低いとされています。なお、リスクが心配な場合は高圧送電線の近くへの転居を検討するのが賢明です。
