高圧電力線が近くにある住宅の健康リスク
高圧電力線の近くに住むことが健康に与える影響は、現在も多くの科学的研究で検証されています。研究は、距離が50メートル(約165フィート)以内から600メートル(約1970フィート)までの範囲で、どのようなリスクが増大するかを調べています。主な懸念は、子どもの白血病、アルツハイマー病、うつ病、流産、頭痛、睡眠障害などです。リスク評価は調査機関により大きく異なります。
研究の種類
研究は大きく分けて理論的研究と疫学的研究の二つがあります。理論的研究では、電力線から放射される電磁エネルギーが人体に及ぼす可能性をシミュレーションし、動物実験で検証します。ただし、動物と人間は生理的に異なるため、結果は参考程度に留まります。一方、疫学的研究は、電力線からの距離別に居住者の健康状態を比較し、リスクの有無を統計的に評価します。どちらのアプローチも多くの要因が絡むため、決定的な結論には至っていません。
子どもの白血病
最も懸念されるリスクの一つは子どもの白血病です。2005年6月4日に『British Medical Journal』に掲載された論文は、「出生時の住所が高圧電力線に近いことと子どもの白血病には関連がある」と結論付け、イングランドとウェールズの白血病症例の約1%が電力線に起因するとしています。ただし、明確な生物学的メカニズムは確認されておらず、偶然や交絡因子の可能性も指摘されています。
アルツハイマー病
イングランドで行われた二つの研究(2008年掲載)では、電力線近傍に住む男性のアルツハイマー病リスクが上昇することが示されました。リスクは居住年数と距離に比例し、600メートル離れた場所に5年住むより、50メートル以内に15年住む方がリスクが高くなります。研究者は、リスクの正確な性質を解明するためにさらなる調査が必要としています。
その他の健康懸念
2004年9月15日に『Medical News Today』に掲載された調査では、トレントハム環境行動キャンペーンが独自に実施したアンケート結果から、電力線付近に住む人々はうつ病、流産、頭痛、睡眠障害(免疫系への影響を伴う)といった症状が遠くに住む人に比べて多いことが報告されました。同団体は、政府の規制強化を求めて関係当局と継続的に交渉しています。
動物実験
米国の多くの研究は理論的アプローチに基づき、実験室での試験が中心です。米国国立環境健康科学研究所(NIEHS)の報告では、実験的に電力線近傍が健康に有害であると示す証拠はないとされています。一方、疫学的研究の結果は弱いものの、実際の生活環境でのデータは「無視できない一貫性」を示しており、リスクはゼロではないと結論付けています。
