マラセジア属のプロテアーゼ活性と皮膚疾患への影響
マラセジア属とは
マラセジア属は19世紀後半にフランスの科学者ルイ=シャルル・マラセズが初めて同定した酵母様真菌です。主に動物や人間の皮膚に常在し、免疫機能が低下したときに機会感染症として症状を引き起こすことがあります。
マラセジアの種類
現在、マラセジア属は10種が認められており、特に Malassezia furfur と Malassezia sympodialis がヒトの皮膚疾患に関与しやすいとされています。これらの菌はプロテアーゼを産生し、色素脱失や湿疹(アトピー性皮膚炎)などの症状を誘発します。
プロテアーゼとは
プロテアーゼはタンパク質をアミノ酸へ分解する酵素で、加水分解によってタンパク質の三次構造を破壊します。構造が崩れると本来の機能が失われ、細胞や組織に障害をもたらすことがあります。
Malassezia furfur と色素脱失
2005年5月号の『Chembiochem』に掲載された研究では、M. furfur が引き起こす色素脱失(花粉症様白癬)のメカニズムが検証されました。菌はトリプトファンをインドールアルカロイドに変換するプロテアーゼ「マラセジン」を産生し、色素細胞の機能を阻害します。抗真菌薬で感染自体は治癒しても、色素が回復しにくいことがあります。
Malassezia sympodialis とアトピー性湿疹
2011年1月号の『Allergy』に掲載された研究では、M. sympodialis が皮膚に定着すると、マスト細胞が活性化されヒスタミンが増加し、アトピー性湿疹(AE)の症状が悪化することが示されました。特にプロテアーゼの発現が上昇し、真菌認識に関わるタンパク質の調節が乱れることが報告されています。今後の研究でこの病態解明が期待されています。
