どの吸虫の卵に「肩」があるか?
吸虫(トレマトーダ)は脊椎動物の血液、肺、肝臓、腸に寄生する扁形動物です。感染診断の主な方法は便中の吸虫卵を顕微鏡で確認することです。卵に「肩(突起)」があるかどうかは種別判別の重要な手がかりとなります。以下に、ヒトに主に感染する吸虫を部位別にまとめ、その卵の形態的特徴を解説します。
肝臓吸虫
Fasciola hepatica(肝蛭):胆管に寄生し、クレソンや水栗などの水生植物を介して感染します。卵は楕円形で薄い殻を持ち、肩はありません。
Clonorchis sinensis(中国肝蛭):未加熱の淡水魚を食べることで感染します。卵は小さく、非常に目立つ肩(突起)があります。
Opisthorchis viverrini:タイなど東南アジアに分布し、卵に顕著な肩があります。
肺吸虫
Paragonimus westermani:最も一般的な肺吸虫で、卵は非対称で厚い殻と肩を持ちます。感染は感染した甲殻類の摂取が主です。稀に脳へ移行し、痙攣や致命的な炎症を引き起こすことがあります。
腸吸虫
Fasciolopsis buski:東アジアで主に見られ、F. hepaticaと同様に水生植物を介して感染します。卵は大きく楕円形で薄い殻、肩はありません。
Heterophyes heterophyes、Metagonimus yokogawai:主に極東地域に分布し小腸に寄生します。卵は肩がはっきりとしています。
血液吸虫(血吸虫)
血流に寄生する吸虫はシストソーム属(Schistosoma)で、雌雄が別個です。代表的なヒト感染種は Schistosoma haematobium、S. mansoni、S. japonicumです。卵には肩はなく、代わりに特徴的な棘(スパイン)があり、他の吸虫卵と区別できます。
以上のように、卵の有無や形状は吸虫の種類を特定する重要な指標です。正確な診断と適切な治療のために、便検査での卵形態観察は欠かせません。
