用途
ヒトの免疫は異物(移植臓器など)を排除しようとします。シクロスポリンは心臓、腎臓、膵臓、骨髄、小腸、肺、皮膚などの同種移植の生存期間を延長するために使用されます。また、米国食品医薬品局(FDA)は、体液性免疫(抗体分泌による免疫)や過敏症、アレルギー性脳脊髄炎の抑制にも効果があるとしています。
特徴
シクロスポリンは、カビ Tolypocladium inflatum から抽出されたペプチドで、T細胞(白血球の一種)を選択的に抑制する最初の免疫抑制剤です。骨髄移植後の宿主対移植片病(GVHD)予防にも用いられます。その他、乾癬、関節リウマチ、腎症候群、アトピー性皮膚炎などの自己免疫疾患でも使用されます。
作用機序
シクロスポリンはTリンパ球を中心に免疫活性リンパ球の働きを阻害します。Tヘルパー細胞が主な標的で、Tサプレッサー細胞も抑制されます。また、リンホジン(サイトカイン)の放出・産生を抑えることで免疫応答全体を抑制します(FDA)。
副作用
シクロスポリンは高血圧、肝機能障害、腎機能障害などの重篤な副作用が報告されています。感染症に対する感受性が高まるほか、下痢、胸焼け、頭痛、膨満感、にきび、筋肉痛、耳鳴り、うつ、男性の乳房肥大、不眠、意識消失、黄疸、痙攣、情緒不安定、発疹、浮腫など多様な症状が現れることがあります。
留意点
シクロスポリンの発見は「選択的リンパ球抑制」という新たな医療研究領域を切り開き、移植医療の技術・臨床・免疫生物学的側面の実践を可能にしました。しかし、依然として一部の患者で原因不明の拒絶反応が起こり、さらなる研究が求められています。
