公共飲料水の塩素処理がもたらす影響
公共飲料水の塩素処理は、100年以上にわたり病原菌の除去を目的に行われてきました。1991年以降、長期的な健康影響に焦点を当てた研究が始まりましたが、対象者を長期間追跡するのが難しいため、結果は限られています。以下に、主な研究結果をまとめます。
塩素処理された水とがんリスク
台湾の28都市を対象に、1998年7月号の『Environmental Research』に掲載された研究では、塩素処理と直腸、肺、膀胱、腎臓がんの発生率に正の相関が認められました。ただし、サンプル数が限られているため、結果の解釈には注意が必要です。
長期摂取と膀胱がん
1999年1月号の『Epidemiology』に掲載されたアイオワ州の男性3,000人以上を対象とした調査では、塩素処理された水の摂取年数が長いほど膀胱がんリスクが高まることが示されました。
子どもの下痢発症率
サウジアラビアの農村部では、井戸水をカルシウム次亜塩素酸で処理し、下痢の原因菌を除去する取り組みが行われています。1995年4月号の『The Journal of Tropical Medicine and Hygiene』の研究によると、未処理の水を飲んだ子どもは、処理済みの水を飲む子どもに比べて下痢を起こすリスクが約2倍でした。
早産リスク
塩素処理と妊娠合併症や早産の関係は明確ではありませんが、2004年5月号の『Toxicology』に掲載された大規模研究(台湾の120以上の自治体、18万人以上の女性)では、塩素処理水を飲んだ女性の早産率が、代替水源を利用した女性に比べて約2%増加していることが報告されています。
