水中ヒ素濃度の実態
ヒ素が水に混入すると健康に深刻な影響を及ぼしますが、低濃度に抑えるには多大な資金と労力が必要です。米国など先進国では水道水のヒ素汚染はほぼ見られませんが、アジアや南米、アフリカの発展途上国では汚染水の使用が避けられない状況です。
ヒ素の供給源
ヒ素は自然界に微量に存在し、空気・土壌・水・生物体に含まれます。農薬製造などの産業でも使用され、火山噴火や森林火災といった自然現象も重要な供給源です。これらの源から流出したヒ素は特に地下水に蓄積しやすく、飲料水の汚染につながります。
規制
米国環境保護庁(EPA)は水中ヒ素濃度を管理しています。1975年に設定された基準は50 ppb(10億分の50)でしたが、1999年の国立科学アカデミーの報告を受け、2001年に10 ppbへと引き下げられました。
検出方法
地方自治体は飲料水やその他の水源のヒ素濃度を定期的に測定していますが、測定には原子吸光光度計など高価な機器が必要です。消費者向けには試験紙を用いた手軽なキットが販売されており、30分以内に濃度を確認できます。
健康への影響
低濃度でもヒ素は人体に有害です。ヒ素は発がん性があり、皮膚がんや腎臓・肝臓・肺・胃の内部がんリスクを高めます。また、皮膚の色素沈着や角化症、末梢血管障害(黒足病)といった非がん性疾患も引き起こします。さらに、糖尿病、高血圧、心疾患、肝機能障害、肺機能低下のリスクも報告されています。
処理方法
公共の水供給でヒ素を除去するには、以下のような高度な技術が用いられます。
- 化学沈殿:特定の薬剤を加えてヒ素を結晶化し、除去する。
- 吸着:アルミナなどの表面にヒ素を結合させる。
- イオン交換:負電荷の樹脂で正電荷のヒ素イオンを吸着する。
- 逆浸透:半透膜を通過させ、水分子だけを通しヒ素を除去する。
個人利用には設備コストの面で化学沈殿は不向きです。
