喫煙が血圧上昇を引き起こすメカニズム
米国心臓協会の統計によると、喫煙に起因する死亡者は年間3万7千人から4万人に上ります。タバコの煙には心血管系や呼吸器系を損傷させる有害物質が多数含まれており、血圧上昇はその主要な要因のひとつです。
有害成分と血圧上昇の関係
タバコに含まれるニコチンと一酸化炭素は、血圧を上げる直接的な原因です。タバコ1本に約60種類もの有毒化学物質が含まれ、これらがホルモンバランスを乱し、血液の化学組成を変化させます。結果として、血管が収縮しやすくなり、血圧が上昇します。
心拍出量への影響
ニコチンは交感神経を刺激し、短時間で血圧と心拍数を上げます。一方、一酸化炭素は肺から血液、細胞へ酸素が移行するのを妨げ、心臓や脳への酸素供給が減少します。酸素不足のため心臓はより多くのエネルギーを使って血液を送り出さなければならず、血圧がさらに上がります。
血管の収縮と硬化
血圧が高い状態が続くと、血管壁に対する負荷が増大し、内皮が損傷します。損傷した血管は徐々に硬くなり、動脈硬化(アテローム性動脈硬化症)へと進行します。硬くなった血管を血液が通過する際に、心臓はさらに大きな力を必要とし、血圧が悪循環的に上昇します。
酸素欠乏による影響
赤血球中のヘモグロビンは酸素を運搬しますが、一酸化炭素がヘモグロビンと結合すると酸素が結合できなくなります。心筋への酸素供給が不足すると、心筋の一部が弱り、心拍の収縮力が低下します。心臓はこの弱点を補うために拍動を速め、結果として血圧が上がります。
プラーク蓄積とHDL低下
喫煙に含まれる有害化学物質は、善玉コレステロール(HDL)の生成を阻害します。HDLは血管壁に付着したプラークを除去する役割を持つため、HDLが減少するとプラークが蓄積しやすくなります。プラークで狭くなった動脈を血液が通過する際、心臓は余計な抵抗を克服しなければならず、血圧が上昇します。
