硫化水素の安全性と対策
低濃度
- 硫化水素の腐敗臭は 1 ppm 未満でも感知できます。
- 10〜20 ppm では目の刺激を起こし、50〜100 ppm になると視界がぼやけ、永久的な眼障害の危険があります。
- 短時間の曝露で嗅覚が失われ、臭いに気付かなくなることがあります。
高濃度
- 250 ppm 以上を長時間吸入すると肺水腫(肺に液体がたまる状態)を引き起こします。
- 800 ppm を超えると 5 分間の曝露で致死的です。1,000 ppm 以上では一呼吸で死亡することがあります。
- 可燃性があり、約260℃(500°F)で空気中で自己着火します。
発生源
- 酸素がない環境で有機物を分解する嫌気性菌が硫化水素を生成します。
- 糞尿、汚泥、天然ガスの一部、硫化鉱石の採掘や高硫黄含有石油の精製などでよく見られます。
- 一部の工業プロセスでも副産物として発生します。
安全対策
- 閉鎖空間や貯蔵タンクで濃度が上昇しやすいため、常時濃度監視と適切な換気が必須です。
- 呼吸用防護具(防毒マスクや呼吸器)を使用し、作業前にリスク評価を行います。
- 例として、2007 年に乳製造農家が腐敗卵のタンクで硫化水素中毒を起こしたケースがあります。
- 詳細は「硫化水素作業環境指針」等の職業保健ガイドラインをご参照ください。
自殺への悪用例
- 2008 年、日本で浴槽用硫黄とトイレ用洗剤を混合し硫化水素を発生させる手段が一部で流行し、上半期だけで 517 人がこの方法で自殺しました。
- 同様の手口は米国でも報告されており、使用者だけでなく同居者や近隣住民が二次的に中毒する危険があります。
