股関節手術の概要と選択肢
股関節手術の対象者
最も一般的な手術適応は変形性関節症です。関節軟骨や骨が徐々にすり減り、痛みや可動域制限が生じます。痛み止めが効果を示さない場合や、関節が著しく変性した場合、手術が検討されます。また、股関節骨折や、他の関節炎で保存的治療が困難なケースも対象です。免疫抑制状態、重度の心疾患、全身状態が不良な方は手術適応が制限され、医師とリスクを十分に相談する必要があります。
部分股関節置換術(Partial Hip Replacement)
股関節の一部のみが損傷している、または骨折の場合に行われます。大腿骨の上端(大腿骨頭)だけを切除し、金属製のステムを大腿骨に埋め込み、人工の金属球を装着します。この球は既存の寛骨臼(ソケット)に再装着されます。
全股関節置換術(Total Hip Replacement)
関節全体が高度に変性・損傷している場合に実施します。大腿骨頭と寛骨臼の両方を人工関節に置換します。大腿骨頭を除去し、ステムと金属球を装着した後、寛骨臼を削り取り、カップ形状の人工ソケットを固定します。シムメント(接着剤)を使用する場合は回復が速く、若年者はシムメントなしで骨と結合させる方法が選ばれます。
股関節リサーファシング(Hip Resurfacing)
既存の骨をできるだけ残すことを目的とした手術です。大腿骨頭を削って金属製のカバーを被せ、可動域と機能を回復させます。ステムは大腿骨に埋め込み、金属球はカバーされた骨頭上に装着されます。大腿骨頭の除去は行わないため、若年者や骨量が十分にある患者に適しています。
回復期間
全置換術・部分置換術の回復には手術方法や患者の年齢・健康状態により数か月から1年程度かかります。リサーファシングは比較的早く、手術後2〜3か月で日常生活に支障がないレベルに回復することが多いです。手術後6週間は歩行や運転などの活動制限が必要で、医師の許可が出るまで無理をしないことが重要です。理学療法は筋力と可動域の回復を促進し、全体のリハビリを短縮します。
手術のリスク
手術直後の主なリスクは感染、血栓、骨折です。長期的には人工関節の緩みや脱臼が起こることがあります。人工関節は通常20年程度の耐用年数が期待されますが、摩耗や損傷により再手術が必要になることもあります。
