膝関節全置換術後の合併症
全膝関節置換術は、重度の関節炎患者に対して世界中で広く行われている手術です。成功率は高く、合併症は稀ですが、術後に起こり得る主な合併症とその予防・対処法についてまとめました。
深部静脈血栓症(DVT)
深部静脈血栓症は最も重篤な合併症の一つで、血栓が肺へ移動すると致命的になることがあります。術後の早期離床、弾性ストッキング、足ポンプの使用、抗凝固薬の投与により予防できます。
創部感染
創部感染は約1〜2.5%の患者にしか起こりません。手術後24時間の抗生物質投与が標準で、必要に応じて追加治療が行われます。
可動域の低下
過剰な瘢痕組織が形成されると可動域が制限されます。術後のリハビリテーションで瘢痕を除去し、必要に応じて全身麻酔下での関節操作が行われます。
神経損傷
手術部位の神経が損傷すると、感覚麻痺やチクチク感が生じます。多くは6〜12か月で自然に改善します。
人工関節の不安定性
周囲の骨の強度が不足すると、人工関節の固定が不十分になることがあります。稀にセメントが不十分だったり、膝蓋骨が脱臼したりし、再手術が必要になることがあります。
骨折
高齢者は骨が脆く、手術中または術後に骨折しやすくなります。骨折は回復期間を延長し、リハビリテーションの期間も長くなります。
動脈損傷
膝のすぐ後方にある大腿動脈が損傷することは極めて稀ですが、発生した場合は血管外科医による緊急手術が必要です。
患者が医師の指示を守り、術後リハビリに積極的に取り組むことで、これらの合併症は大幅に予防できます。
