鍵穴手術(ラパロスコピー)の合併症とリスク
鍵穴手術(ラパロスコピー)は、細長い器具と小型カメラを用いて、数ミリの小切開で行う低侵襲手術です。従来の開腹手術に比べ、疼痛や回復期間、合併症リスクを低減することが期待されますが、依然としてさまざまな合併症が起こり得ます。
軽度の合併症
- 軽い感染症、切開部の打ち身、異常瘢痕形成は比較的短期間で治癒します。
- 麻酔薬に伴う吐き気や嘔吐も報告されています。
麻酔に対する反応
- 全身麻酔の使用に伴い、アレルギー反応(蕁麻疹、皮膚発疹など)が起こることがあります。
- 稀にショック状態になることもありますが、致命的になるケースは少ないです。
- 例として、約3,000人に1人は筋弛緩薬スキサルコリンを代謝できず、覚醒が遅れることがあります。
器具による損傷
- ラパロスコピーで使用するベレス針やトロカールは血管を傷つける危険があります。大動脈など重要血管が穿孔すると大量出血やショック、最悪の場合は致命的です。
- 腹腔内を二酸化炭素で膨らませるため、血管損傷時にガスが血流に入り心臓へ到達すると致死性のエンボリズムが起こります。
- 腸や肺など他臓器の穿孔も報告され、速やかな対処が必要です。
二酸化炭素の影響
- 腹腔を高圧で二酸化炭素で充填すると、血液の心臓への還流が増加し、心機能が低下した患者で心不全を招くことがあります。
- 二酸化炭素が血中に吸収されると不整脈やホルモン(カテコラミン、バソプレシン)の分泌が亢進し、循環不全を引き起こすことがあります。
開腹への転換(コンバージョン)
- 手術中に出血や臓器損傷などで視野確保が困難になった場合、切開を拡大し開腹手術に切り替えることがあります。
- 熟練した外科医であれば、コンバージョンが必要でも良好な予後が期待できます。
鍵穴手術は多くの患者にとって有益ですが、上記のような合併症の可能性を理解し、経験豊富な外科医と十分に相談した上で手術を受けることが重要です。
