中絶の種類と概要

歴史

最古の人工中絶の記録は紀元前5世紀にさかのぼります。エジプトでは紀元前1550年頃に「マッサージ中絶」と呼ばれる方法が行われ、腹部への圧迫や薬草、時には鋭利な器具を用いて胎児を排除していました。紀元前500~515年頃には中国の王族も中絶を行っていたと記録されており、伝承では中国の指導者・神農が水銀を使って中絶させたとされています。

重要性

中絶の方法は、母体への不快感が少ないものから、局所麻酔が必要なものまで様々です。妊娠が判明した時点から胎児が満期になるまで実施可能ですが、妊娠が進むほど合併症や感染のリスクが高まります。

中絶の方法

主な中絶方法は以下の5つです。

  1. 手動真空吸引(MVA):妊娠初期に使用され、細いチューブを子宮に挿入し、シリンジで胚児を吸引します。
  2. 吸引キュレッタージ(吸引掻爬):最も一般的な方法で、妊娠中期以降に実施されます。頸管を拡張した後、プラスチックチューブと吸引装置で胎児組織を吸い出します。
  3. 拡張・排除(D&E):第二妊娠期(13〜24週)に行われ、吸引だけでは取り除けない大きさの胎児を、頸管拡張後に鉗子やキュレッタで切除・吸引します。
  4. 拡張・抽出(D&X):妊娠20週以降から満期まで行われる手術で、頸管を拡張し、超音波で胎児の位置を確認しながら足や体を鉗子で取り出し、頭部を切除して脳組織を吸引します。
  5. 薬剤中絶(RU‑486):妊娠初期に医師の指導の下で服用する中絶薬です。錠剤を服用後、膣内に2〜3錠を挿入し、子宮収縮と痙攣で胚児を排出させます。

時期別の適用範囲

手動真空吸引は最終月経後7週まで、吸引キュレッタージは6〜14週、拡張・排除は13〜24週、拡張・抽出は20週以降から満期まで、薬剤中絶は妊娠49日(約7週)まで使用可能です。

注意点

早期中絶で重篤な合併症が起こる確率は約1%、晩期中絶では約2%です。主な合併症は大量出血(輸血が必要になることも)、腸や膀胱などの臓器損傷、敗血症、全身感染、子宮内膜の瘢痕化(将来的な不妊や流産リスクの増大)などがあります。

手術(総論) - 関連記事