脊髄腫瘍手術の概要と適応
脊髄腫瘍の手術は、放射線療法や化学療法で腫瘍が縮小しない場合の最終手段です。手術は神経障害の進行を防ぎ、疼痛を軽減し、脊椎を安定させることを目的とします。ただし、永久的な神経損傷のリスクがあるため、腫瘍を完全に除去できないこともあります。腫瘍除去と機能回復のために、主に2種類の手術法が用いられます。
腫瘍の種類
- 脊髄腫瘍は悪性(がん性)と良性(非がん性)に分かれます。
- 原発腫瘍は脊髄やその周囲の神経、軟部組織、骨に直接発生しますが、転移性腫瘍(二次腫瘍)の方がはるかに一般的です。
- 転移性腫瘍は肺、前立腺、腎臓、乳房、甲状腺など他の臓器から脊髄へがん細胞が広がったものです。米国神経外科医協会のデータによると、脊髄腫瘍の約70%が転移性です。
手術が必要となる理由
- 放射線療法や化学療法で腫瘍が縮小しない場合。
- 激しい疼痛、骨の侵食、脊椎の変形があるとき。
- 腫瘍が膀胱・腸の神経を圧迫し、排尿・排便障害を引き起こす場合。
- 筋力低下や麻痺が進行し、日常生活に支障が出るとき。
経皮的手術(ミニマルインベーシブ手術)
- 小さな皮膚切開から内視鏡と手術器具を挿入し、腫瘍の一部または全体を除去します。
- 神経症状がほとんどない患者に適しています。
- 骨が腫瘍の重みで骨折している場合は、セメントを注入して固定します。
開頭手術(オープン手術)
- 神経症状がある、または腫瘍が大きい場合に大切開が必要です。
- 腫瘍を脊髄・神経・血管から慎重に分離し除去します。
- 手術前に血管塞栓術(エンボリゼーション)を行い、出血を抑えることがあります。
- 脊椎の安定化が必要な場合は、セメント、ロッド、スクリューなどで固定します。
術後の回復
- 北米脊椎学会の報告では、入院期間は手術後5〜10日が一般的です。
- 歩行や日常動作を取り戻すためにリハビリテーションが必須で、リハビリ施設での入院が数週間必要になることもあります。
- 完全回復まで数か月から1年程度かかります。手術の規模や患者の状態により変動します。
- 術後は定期的にMRI検査を行い、腫瘍の再発や新たな転移を早期に発見します。
