腹腔鏡下胆嚢摘出術の合併症と対策

胆嚢の働き

胆嚢は肝臓の右側下部に位置し、肝臓で生成された胆汁を貯蔵します。食事、特に脂肪分を摂取すると胆嚢が収縮し、胆汁が小腸へ放出されます。胆汁は細い胆管を通って小腸へ流れますが、胆石が胆管を塞ぐと激しい腹痛が生じます。

腹腔鏡下胆嚢摘出術(腹腔鏡手術)

全身麻酔下で外科医は腹部に4つの小さな切開を作り、カニューレと呼ばれる細い管を挿入します。そのうちの1本にはカメラ付きの腹腔鏡を装着し、テレビモニターに映し出される拡大映像で胆嚢を確認しながら手術を進めます。胆嚢は慎重に分離され、切開部から取り出されます。必要に応じて総胆管内の結石も除去されます。

合併症の予防

腹腔鏡下胆嚢摘出術の成功に最も重要なのは、外科医の熟練度です。米国国立衛生研究所(NIH)も、経験豊富な外科医が行う限り、腹腔鏡手術は開腹手術と同等の安全性と有効性を持つと評価しています。

腹腔鏡手術の中止(開腹への切り替え)

手術中に以下のような状況が生じた場合、外科医は腹腔鏡手術を中止し、従来の開腹手術へ切り替えることがあります。

  • 腹膜癒着や壊死組織の存在
  • 視野が不鮮明になる(特に肥満患者)
  • 胆管や血管の解剖が不明瞭な場合

文献上では、これらの切り替えは「合併症」ではなく手術戦略の変更とみなされています。

胆管損傷

胆管は細くて走行が近接しているため、解剖学的変異があると誤って切断・切除してしまう危険があります。誤って胆管を損傷すると胆汁が腹腔内に漏れ、胆汁性腹膜炎を引き起こし、場合によっては再手術や肝胆道再建が必要となります。主な症状は術後の体調不良、黄疸、上腹部痛、呼吸困難などで、放置すれば致命的になることもあります。

癌リスク

胆嚢摘出後に増加すると報告されている癌は主に以下の2種類です。

  • 大腸癌:胆汁が大腸に長時間接触することで粘膜刺激が起こり、特に右側結腸に発生しやすくなります。
  • 膵臓癌:米国南カリフォルニア大学の研究によれば、胆嚢摘出術後の患者は膵臓癌の発症リスクが有意に高いことが示されています。

その他の合併症

全ての手術と同様に、全身麻酔によるリスクや感染症、出血、肺炎、血栓、心臓合併症が起こり得ます。また、術後数か月から数年にわたり、慢性的な下痢、腸内ガス過多、右上腹部の持続的な痛みなどの消化器症状を訴える患者が最大40%報告されています。

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